ENTREVUE BLOG

「ナギ」ですが時にはあらぶり「エンタメ」「すきなこと」について書く。演劇・宝塚・映画・本、アート・旅行等娯楽、趣味の話とたまにの真面目コラム。

ファムファタル明日海りおの魅力とAパターンへの思いを綴る@宝塚花組博多座公演『あかねさす紫の花』

博多座遠征行ってきました!

博多座福岡空港からたった二駅!羽田空港や成田空港とはえらい違い。めちゃくちゃ便利でした~!福岡ではほぼ観光できなかったのですが、市場近くの定食屋さんで朝ごはん(胡麻鰤定食)を頂き、天神近くの神社に行ったり、豆乳ソフトクリームや焼き饅頭食べたり、劇場内で金つば食べたり…(すでに食べ過ぎ)

美味しいもの盛りだくさん食べてきました!おみやげはもちろん博多銘菓とおりもん!(めっちゃ美味しい)

「おきよ食堂」

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櫛田神社
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今回の旅レポはこんな感じで簡単に、では観劇レポ、まずは前もの芝居、『あかねさす紫の花』です。

 

万葉ロマン
『あかねさす紫の花』
作/柴田 侑宏 演出/大野 拓史
1976年の初演以来、度々再演を重ねてきた万葉ロマンの名作。律令国家形成の立役者となった中大兄皇子大海人皇子という才気溢れる二人の兄弟が、女流歌人額田女王を巡って繰り広げる愛憎劇。古代史上に名高い三人の壮麗なロマンをもとに描かれたオリジナルミュージカルに、明日海りおを中心とした花組選抜メンバーが挑みます。

 花組公演 『あかねさす紫の花』『Santé!!』 | 宝塚歌劇公式ホームページ

 

わたしが今回観劇出来たのは役替わりBパターンのみ。

中大兄皇子 明日海りお

大海人皇子 柚香光

天比古 鳳月杏

ちなみにちなつさんとの思い出しかないお先にアップしたサンテの萌え語りはこちらです。

博多座で麗しの鳳月杏様にサンテして貰って天にも昇れる、最高級ワインをいただいた気分だった話をします。 - 『エンタメ ジャーニー』ナギ ナリコがエンタメScrap!

 

 

古典的名作、あかねさす紫の花

柴田侑宏先生の数々の名作の中で、「あかねさす」は割とよく再演されている名作の一つだと思います。ダブルトップ時代(榛名由梨安奈淳)に作られた作品なので、中大兄皇子大海人皇子どちらも役の比重が重い。女流歌人として名高いヒロイン額田女王も役として大きい。鏡女王をはじめ他の娘役にも割と印象的な役があるのも、柴田先生の作劇の特徴、と言えそうです。

宝塚の古典的な名作、昭和に作られた作品を再演すると、どうも悪い意味で「ノスタルジック」さが目立って、現代に上演するのは…という作品も時にはあります。

今回も演出、脚本、舞台美術等、基本は大きく変わらないのですが(追:中大兄と鏡女王のデュエットが追加)、「古くささ」はなく、「万葉ロマン」としてしっとり鑑賞することが出来ました。日本人と言えど、そんなに馴染みのある題材ではないと思いますが、(和歌は有名ですね)台詞の言葉、衣装、舞台美術すみずみまで美しい舞台でした。

 

明日海りおの放つ魔性の魅力

明日海りおの中大兄皇子は妖しげな、ファムファタル的な魅力。ヴァルモン子爵の路線に近いかな、例えば直近の上演、花組春野寿美礼さんの中大兄と比べると、カリスマ性や存在感で魅せる、というより、なんだか得体も知れないけれど…得も言われぬ妖しげな魅力を感じました。額田はそんな中大兄の吸引力に抗えない。これもよくよく思い出してみると、トゥールベル夫人みたい(同じく仮面のロマネスク)ですが、役としてはもっと「額田自身」が「自らの意志」で凛と立っていて、面白い役です。額田女王は役としては難しい。フツーに演じると、どうしても「あざとい」印象が残る。幼少のころから宮中に上がることを夢見(これも捉え方によっては野心メラメラに見える)大海人と恋仲になるが、最後は…ここに説得力をどう持たせるか。

以下、わたしの解釈ですが、ゆきちゃん(仙名彩世)額田は本当純真に祭事や舞いに憧れを持っていて、その少女が成長していき…出産をへて、新たな魅力を放ち、中大兄の目に留まる…。本人は幼い頃から中大兄への思いを「はっきり」と自覚していたわけではない…ただ、その「蠱惑的な」魅力をどこか感じていて、いざ、相手に求められると、その力強さには抗えない…というように作っていたように見えました。

少女時代もベテラン娘役のゆきちゃんにはどうかな〜?と思っていましたが、透明感のあるヒロイン声を駆使し自然にこなし、観客の微笑ましい空気感までも醸成。(すばらしい)

柚香光ちゃんの大海人も同じく…ですが、兄の中大兄皇子に幼少から「強い憧れ」を持ち、結局は大切に思っている額田を譲り渡してしまう…。光ちゃんのみりおちゃんへの憧れ、思いがそのまま役作りに生きているようでありました。二人はそろいの衣装を着ていると、本当そっくりでしたしね。白眉はラストの狂乱場面。元々こういうナイーブさを感じさせる芝居が、魅力的なジェンヌさん。大事なクライマックスの激しい慟哭、印象的な場面になっていたと思います。目下課題の歌も、凄く曲に馴染むようになっていて驚きました!

 

役替わりBパターンの歪み

Aで中大兄を演じた鳳月杏さんが天比古という仏師を演じています。包容力があり鋭い個性が持ち味、美形な男役等が多かったので、このようなナイーヴな青年役は久しぶり、新鮮でしたね。元々芝居心がある方ですし、額田への執念めいた憧憬も感じました。瀬戸かずやさんの中臣鎌足も手堅い演じよう。鏡女王桜咲彩花、若手娘役の顔見世的な十市皇女の音くり寿、鵜野皇女の華優希もそれぞれ良い。デュエットが一曲追加され、中大兄と鏡女王がちゃんと愛し合っている感が出ていたのも良かった。小月(乙羽映見)も良い役ですよね。男の都合で政治的手段として利用され、振り回される女たち、哀しいですね…

あとびっくちゃん(羽立光希)の歌手ね!センター0番、劇場を包み込む、素晴らしい歌声。

 

このように基本的には演者それぞれ、しっかり演じられていたように思うのですが、わたしは観終って「Aパターン」はさぞかし良かっただろうな、と感じました。理由は以下。

ポーの一族』から二番手に昇格した柚香光ちゃん。超小顔で細面の美形男役で、目を引く濃い存在感、ダンサーとして有名です。が、やはり一人で「主演クラスの大きな役」を演じると、まだ少し色々足りないのかな、と。光ちゃんの個性は意外とナイーブな役を演じると光る。それがクライマックスのそれでしたが、その他で「本人の役作り」と「観客に見せているもの」のかい離を感じました。つまりスキルが追い付かず、経験でカバーすることもまだ少し、難しいのですよね。

もし明日海さん大海人だと、元々似合いの持ち味に加え、キャリアも脂がのっている。中大兄は本来の持ち味とは違うキャラだったのでしょうが、技術と経験で見せることが出来る。柚香光ちゃんの天比古は、きっとハマっていただろうと思います。ちなつさん(鳳月杏)は実力派でありますが、その鷹揚さ、鋭い個性は中大兄の方がより生きたでしょう。ゆきちゃんの額田がA、Bパターンでどう役作りを変えていたのか気になるところですが、Bパターンもそれぞれ「ちゃんしてはいる」。なのに、どこか作品としてのまとまり、この座組みでやっているからこその魅力、がわたしはあまり感じられませんでした。一観客としては、楽しみましたが、不満、までいかないまでも、作品全体として「腑に落ちる感」がなかったのが少し残念。演出プランも気になったかな…元々、ちなつさんの中大兄と自身の二役役がわりを提案したのは、明日海りおさんらしいですね。(インタビュー記事で読みましたので出展わかれば追記します)それを受け入れた劇団側、演出の大野拓史先生に色々うかがってみたい気もします。

 

この作品、ブルーレイ化が決まっておりまして、A、B両パターン収録されることになりました。(わーいパチパチパチ)

http://kageki.hankyu.co.jp/sp/news/20180531_001.html

心のご贔屓、ちなつさんが中大兄皇子に大抜擢された今回の公演、映像でも観たい…!(しかし映像ディスクの増えすぎを懸念するおたく)

 

さて、どうも腑に落ちていない、まとまりのない感想ですが苦笑、更に色々思うことがあったショー『Santé!!』については次回に続きます…!

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