「タカラヅカ」はタカラジェンヌの芸に宿る
こんにちは。少し雑談めいたお話しをお届けします、ナギナリコです。
毎回新鮮な組み合わせが楽しい対談番組、Eテレの『SWITCHインタビュー達人達』、ご存知ですか?
異なる分野の二人がそれぞれの場でそれぞれの話題を、スイッチして話す、という本当ただそれだけなのですが、話がいつも面白く、良く観ています。
最近だと元雪組トップスターの早霧せいなさんとマラソン解説者増田明美さんの退団がありましたね。
先日再放送でみたものがあり、その回は歌舞伎俳優市川猿之助×製硯師(せいげんし)、青柳貴史さんでした。
この放送回だけでも面白い論点、話題が豊富で見応えがあったので、機会があればまた改めてアップしてみたいと思うのですが…
中でも印象的だった猿之助さんの話。(意訳です)
歌舞伎の中には先人達が生み出した演出手法が詰まっている
歌舞伎とは役者の身体、言語(⇒間、表情、呼吸)(に存在する)
歌舞伎とは役者の身体、言語(⇒間、表情、呼吸)(に存在する)
ここでヅカオタらしく(笑)、宝塚と歌舞伎について思いを馳せました。
歌舞伎と宝塚、似ているところと言えばいわゆる「型芝居」な部分だと思います。
意外と観客にはふだん意識されずにいる部分でもありますが、男役なら性別を変えてみせ、娘役はより女らしく娘役らしく。そしてどの舞台より「美しく」あることがタカラヅカでは求められる。
そんな芸にこそ、身体にこそ、「宝塚らしさ」が宿るのではないか、と思いました。
歌舞伎もそうですが、例えば本来の身体能力や容貌、素養は人によって持っているものが違う。生き馬の目を抜く芸能の世界、身体能力や容姿、才能「だけ」とったら恵まれた人材はどんどん出てくる。
けれど、どんなに素材が恵まれていたって、「すぐ」には歌舞伎役者にもなれないし、「タカラヅカ」のスターにはなれない。
化粧や所作をはじめ「歌舞伎らしい」「宝塚らしい」技を時間をかけ身体に沁ませてはじめて…芸が身に付いていく…のですよね。
何にも知らないと「みんな同じ」「マネできそう」って割と思っちゃうのですけど、(歌舞伎の芝居、宝塚の芝居、というと思いつくのがありますよね)少しその世界をのぞいてみると、その奥深さに驚くものです。
宝塚でも、例えば歌やダンススキル「だけ」で言えば、入団したてでもかなりのレベルの方、上級生に比べても見劣りしない方、っていうのはいるのかな、と思います。
ただ、もちろん「観客がいる舞台に立つ」という経験を経て成長していく部分に加え、「男役芸」「娘役芸」というのは、ある程度の熟練が必要なんですよね。
「男役10年」という言葉が知られているよう、男役は10年やって、やっとそこからと言われます。低音の出し方、歩き方、手の使い方、ハットの被り方等、数々の所作、舞台化粧、衣装の補正の仕方、着こなし等。もとはあどけなさが残る「普通の女の子」だった彼女たちが、次第に性別を越えて「男役の顔つき」になる。
娘役も男役ほどには習熟に時間がかからない、と思われていますけれど、それでも新人公演の学年を卒業し、研10を超えたベテラン娘役の芸というのは若手のそれとは比べられない趣があります。
髪飾りやアクセサリーづくり、舞台化粧、輪っかのドレスをはじめ宝塚ならではの衣装の所作、男役に対する「寄り添い」芸。