タカラヅカの儚さ、華の生命短し〜花組集合日によせて
5/31、5月最後の日、花組集合日にキャストと退団者の発表がありました。
花組
天真 みちる
新菜 かほ
桜舞 しおん
2018年10月14日(花組 東京宝塚劇場公演千秋楽)付で退団
このお三方、中でも天真みちるさんの退団発表にはSNS上でもざわめき、TLに沢山の驚きとかなしみの声が上がりました。個人的にも驚きました…
宝塚というのは、基本的に組ごと、各組のトップさんの印象・個性が強い組織です。
【2018年版】宝塚初心者が見るならどの組?どの公演?おすすめ情報を網羅してお送りします! - 『エンタメ ジャーニー』ナギ ナリコがエンタメScrap!
天真みちるさんは92期。
花組のファンでなくても、宝塚ファンなら皆さんの覚えが良い愛されキャラ。大変芸達者で、かの伝説の番組『SMAP×SMAP』の宝塚特集番組で余興(定期的に飲み会?お疲れ様会があるようで)の「タンバリン芸」を披露し、あの木村拓哉さんに「てんまーーーーーー!!!」と叫ばれる、というキャラクターの濃さをお持ちでした。
いわゆる「別格」スターとして、色濃い役柄、年かさのいったキャラクターを演じることも多かったように思います。「宝塚おとめ」での毎回面白い自己紹介も話題ですよね。同期のちなつ(鳳月杏)さんとの恒例のコラボ?も。(持ってる方は是非見てみてください、今年もくすっと笑えます)
先の博多座公演、花組公演 『あかねさす紫の花』『Santé!!』でもその芸達者ぶりを発揮、ショーでは星条海斗さんがやった「赤ワイン」ムッシュウを担当。
今回、お三方の退団を受け、わたし自身も、こんなことをつぶやきました。
宝塚を観ていて、トップさん以外でも、○組の○○さんは幹部や専科候補でずっといて欲しいな〜とか、ファンの勝手な思いで願ったりするんですが、タカラジェンヌとしての人生の儚さたるや……
— ナギ ナリコ@5月は反省と行動。 (@sorekime) 2018年5月31日
そもそも、現代に生きる、多くが若く、才能と容姿に恵まれた女性達が、「タカラヅカ」という超々コンサバティブな組織にずーーーーーっといてくれる訳がないのだと、今日思いましたね。宝塚の花の命は短し…
— ナギ ナリコ@5月は反省と行動。 (@sorekime) 2018年5月31日
天真みちるさんは、「別格」としてずっと宝塚にいて欲しい、専科生や花組の幹部生(上級生4人)になって欲しい、という方、結構多かったのではないでしょうか。
私自身もそうで、なんとなく、ずっと宝塚にいてくれるような気がしていました。
でも今回92期の天真みちるさん、94期の新菜かほさん、96期の桜舞しおんさんがご卒業、宝塚歌劇団に入団して、ほぼ10年以上経つ方ばかり。
92期は宙組トップスター、真風涼帆さん、元花組トップ娘役蘭乃はなさん、元宙組娘役すみれ乃麗さん、現花組男役鳳月杏さん、雪組男役彩凪翔等がいらっしゃいます。
その期で男役のトップスターが生まれる学年だと、もう組の中ではかなり上級生なんですよね。
わたし、帰りの電車でこの発表を見たのです。たまたま前の席の方もヅカファンで、お話ししていて「長い間良く頑張ったよ」って。
本当にそうだな、と。
トップスターの多くは入団10年以上、速くても研12~遅くても研18等、世代で言うとすみれコードですけれど、それなりの年代、年齢になっています。
宝塚という伝統と格式を重んじる世界。
女性として、人生においても大事な、10代後半から20代、30代という時間を「タカラヅカ」という旧態依然とした、コンサバティブの、実はちょっと「窮屈な」組織に居続けることは、現代に生きる我々なら、色々思うこともあると思います。
以前読んで印象的だった樹里咲穂さんの対談記事。
その中で
高柳:退団するときに、今の姿をイメージしていたんですか?
樹里:まったくしていませんでしたね。宝塚を退団する直前まで「宝塚でトップスターになる」「こんな役をやりたい」ということだけ考えていました。でも、宝塚の世界って、本当に独特でしょう。それはまさに夢の世界だし、すてきなのだけれど、同時にとても小さな世界で、その中の価値や判断で、物事をすべて決める場でもありました
(また、宝塚の様々な習慣に納得できないことはなかったのか、という質問に対し)
樹里:納得できないこと……。正直に言うと、ありましたね(笑)。宝塚のよさ、文化は理解した上なのですけれどね。
という発言が。
表には出さないようにしているけれど、きっとタカラジェンヌにも思うところはあるだろうし、退団された後、色んな形でそれをうかがわせる発言をしている方もいます。
もちろん今回のお三方がどんな考えで退団を決意したのか、一観客としては想像の域を出ません。きっと前向きに卒業を決めていて、最後まで懸命な舞台姿を見せてくれるはず。
ただ、やはり、ずっといてくれるわけではないのだな、と一抹の寂しさを感じます。
皆さん、特に上級生になってくると、外の世界を見てみたい、と多かれ少なかれ思うようになるのではないかと思うのです。
最近こんな記事も読みました。宝塚内部でも観客にはわかりにくいところで色々と変わっているのですね。
昨年からトップスター、トップ娘役の退団が相次ぎました。
一昨年の北翔海莉・妃海風から、2017年年明け、花乃まりあ。次に実咲凛音、早霧せいな、咲妃みゆ、朝夏まなと。そして今度は愛希れいか。
色んな組の「時代」が終わる中で、トップスターとは別枠で「別格」、個性的なジェンヌさん、各組や宝塚にとって大切な数々のスターさんたちの退団も印象的でした。
美城れん、沙央くらま、飛鳥裕、星条海斗という専科さん。綾月せり、夕霧らいという幹部クラス。香棱しずる、鳳翔大、壱城あずさ、宇月颯、といった男役として華や人気、実力があったスター達。
他にも毎公演、何人もの生徒さんが退団していくけれど、彼女らが組に残した、観客の心に訴えかけてきたものが、なんとなく薄れて行ってしまうような哀しさがあります。
きっと、色んな形で受け継がれていくのだろうけれど、ね…なんでしょうね、この寂しさ、もの哀しさは。
宝塚ファンになってまだまだ日は浅いですが、星組KillerRougeでの104期生のさくらのラインダンスを見て、咲く花の華やかさ、散りゆく花の美しさを感じる今日この頃なのでした。
ナギナリコがお届けしました。