ENTREVUE BLOG

「ナギ」ですが時にはあらぶり「エンタメ」「すきなこと」について書く。演劇・宝塚・映画・本、アート・旅行等娯楽、趣味の話とたまにの真面目コラム。

連休宝塚遠征の備忘録。(星組台湾青年館+珠城茶+月組エリザベートマチソワ)

こんにちは、怒涛の連休が終わりました。

まさに燃え尽きた…真っ白に燃え尽きたぜ…という気分です…いや、ひたってる場合ではない日常が容赦なく襲ってきます、がんばれ、自分。

 

連休(わたしは二日間)どんな感じ過ごしたかと言うと…

 

一日目前半:

星組『Thunderbolt Fantasy(サンダーボルト ファンタジー)東離劍遊紀(とうりけんゆうき)』『Killer Rouge/星秀☆煌紅』日本青年館で観劇。

二階席1列目だったのですが…噂に違わないひどさで、座面が高すぎて脚がつかない…低いと手すりが視界の真ん中あたりに来てしまいそうなので、高くしたのかな。しかし色んな劇場で観劇してきたけど、脚ぶらりんで観劇したのは初めてだよ?地震とか安全面大丈夫なの?と心配になりました…

公演自体の感想はまた詳しくは改めて、ですが、サンファン星組のヴィジュアル再現力のすばらしさ、ぴったりな配役、小柳奈穂子さんの手堅い舞台づくりと相まってよくまとまってました。ストーリーは基本は巨悪にチームで挑むぞ!っていう冒険モノ。主人公コンビが、いわゆるお決まりの主人公っぽくないキャラなのがポイントで、原作だと紅ゆずるさんの凜雪鴉(リンセツア)と七海ひろきさんの殤不患(ショウフカン)がダブル主人公です。仲間同士でも裏切り、騙し合い、それぞれの秘密…があり、そこが物語に面白みを与えている、キャラで魅せるタイプの作品。小難しい話ではない、と思うんですが、キャラの名前や通り名、武器の名前、地名、世界観の設定など、個性的なので、そのあたりが音でパッとなんとなく浮かばないと、ちょっと難しくなっちゃうのかもしれません。ファンタジーの世界観ってそうですよね。

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 キラルは大好きなショーだったので、

下級生の立ち位置、担当場面が変わっていたり、「組子点呼」にいそしむだけで楽しかったです。別箱であらたな萌えが生まれる、あるある…台湾向けに三曲程追加曲がありますが、意外と全体は変わってないです、熱く、激しく、キャッチーでしたよ!

 

一日目後半:珠城りょうお茶会参加

珠城りょうさんのお茶会@宝塚ホテルに初参加してきました!

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ツイでお先に呟いてたんですが、珠茶では公演やプライベートのお話結構してくれましたね。ゲームも初挑戦!(緊張した)珠城さんはそのどれもに丁寧に受け答え、でも時折チラ見えするいたずら心が可愛らしく、あとこれは全宝塚珠茶に行った方の総意(強調)だと思うのですが、小池先生と明日海りおさんとのエピで、その声マネめっちゃ似てて笑えました。マジメで聡い部分も魅力だけど、茶目っ気あって可愛らしい方。握手コーナー(緊張した)やっぱりあまり記憶が…生の破壊力、おそるべしです…おみやげがめっちゃ実用的(電動歯ブラシ)だったので、これからの遠征のおともにする予定。

 

二日目:エリザベートマチソワ

月組 『エリザベート-愛と死の輪舞(ロンド)-』当日券に挑戦しました。

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元々ソワレのチケがあって、午前はゆったりまだ行ってない宝塚近隣のスポットやお店でも周って、その一回にじっくり注力するつもりだったんですが、やっぱり見たくなってしまい…

うん、エリザ当日券、凄まじいですね…黄泉の国が見えかけた…詳しくはお察しください、って感じですが、後にも先にもムラであんな早く並ぶことはもうないかも。

これから当日券並ぶ方、時間はもう覚悟して、頑張ってください…(それしかいえねえ…)あと他の公演だとムラの当券って列の並びそこまでピリピリしてない印象あるんですが、割り込み、ダメ、ゼッタイ!ちらほら周りで揉めてるのみたし、あと一緒に並ぶ方は同時に来てほしいな…せめて遅れるなら一言後ろの人に声かけるべきだよね、と。

割り込みされるとこの心境ですからね…

エリザベートは、あんなに映像で何度も観てるのに、とても新鮮な演目に感じました。

ひとつひとつの芝居、音楽、ダンス、振り、転換、演出に意味が感じられる。

考え出すと頭がイタイですが、こんなじぶんの頭がキャパオーバー!な演目これまでないです…LVしなければあと東宝ラスト1回、かみしめながら色々思いを馳せたいと思います。(そしてそれを書かねば)

歌劇の殿堂はエリザベート展と先の月組公演。人気で、入場制限されてました。

エリザの歴史を振り返るビデオ(30分)上映があったんですが、時間が決まっており、微妙にマチソワ間だとタイミングが合わなくて…。再入場してる方もいたのですが、時間は確保していった方が良いかも知れません。

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BADDY大好き…

ごはん:

セルカの パスタでホワイトピラフ。

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優しいお味でした…元々ホワイトソース好きなのでこれはマネしよ。宝塚のごはん所はまだまだ開拓中で、とりあえず定番をじわじわ押さえてます。

今度はインドカレーカトマンドゥカリーPUJAやそれこそサンドウィッチルマン に目を付けてます。これまでだと、サラ(Tea House SARAH)やタイ料理のマイタイも良かった。宝塚のお店は、街も、どこ行ってもタカラジェンヌさんのポスターやサインが飾ってあるし、何ならジェンヌさん街中フツーに歩いてるし、不思議ですね。日常だけど非日常…

すかさず公演デザート。(ミルクプリンの中にジュレ入っていて美味)

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帰りは梅田のフードコートでさっくり。綺麗だしテナントも充実してるし、おひとり様旅の味方ですね。

UMEDA FOOD HALL | うめだフードホール | 阪急三番街

そういえば今回グッズとおみやげで散在あんまりしなかったな…

次の遠征までとっておきたいと思います。ごはんやおみやげも、また新しいとこ開拓したいです!どっかおすすめ等々ありましたら是非教えてくださいね。

ではでは今回はこのあたりで。

ナギ

 

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三連休はヅカ充してきます!

こんにちは、ナギです。

三連休、いかがお過ごしでしょうか、拙ブログをご覧の皆様、ヅカファンの皆様。

わたしはというと、東宝公演中の花組メサイア/ビューティフルガーデン観劇はまだ少し先。

連休は星組サンファン&キラル日本青年館公演の観劇、公演終了後、弾丸で宝塚に向かいお茶会参加、月組エリザベート観劇予定とタカラヅカ補充・タカラヅカの充実、つまり〝ヅカ充〟の連休」してきます〜!

このブログがアップされる頃には宝塚の地です。星組あの世、キラルぶり!

…なんだか大分宝塚から離れていたような気がします。雪組観劇は8月でしたからね。他の演劇公演や映画等楽しんでました!…と言いたい所ですが、それもなくはないですが、最近とにかく忙しなく…やっと気持ち的にも体力的にも一息つけるなあ、と。9月も後半に差し掛かる、って早いなあ。

いやいや、相変わらずの強行軍で旅行したらまた消耗するのでは?!と自分でツッコミたいところですが、良いんです!(言い張る)

宝塚の地を踏むことが!宝塚観劇のパワー、タカラジェンヌ達のパワー、ひいては好きなものに捧げる時間こそが!わたしを元気にしてくれるのです…!!

星組の熱気にあてられ!

お茶会で萌えを補給し!

念願初エリザベートです!

 

遠征時のお話は日を改めて、次の機会に。

お互い良き連休を過ごしましょうね。

わたしのブログにあるまじき長さですが笑、今日はこのあたりで。

また(ブログを通じて)お会いしましょう〜!

ではでは。

(最後に画質悪いですがサンファンのコンビの写真を。良いコンビです、本当)

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猛暑に生まれた濃厚で新鮮なラテンショー!@宝塚雪組『Gato Bonito!!』 ~ガート・ボニート、美しい猫のような男~

凱旋門と併演ショー、『Gato Bonito!!』のレビューをお届けします。藤井先生のイケイケ3部作(確かご本人談)と言えば、『EXITER!!』シリーズ、『Appasionade!!』シリーズ、『CONGA!!』。いずれも再演されたり、ショーの名作として語り継がれている作品ですね。個人的にもスカステで放送があるとつい見てしまう、大好きな作品ばかり。今回の『Gato Bonito!!』もイケイケ四部作としていいのでは?という位、アツく、激しいショーでした!

 

公式情報

かんぽ生命 ドリームシアター
ショー・パッショナブル
『Gato Bonito!!』
~ガート・ボニート、美しい猫のような男~
作・演出/藤井 大介
ポルトガル語で“美しい猫”を意味する“Gato Bonito”。クールで気まぐれな性質、気品溢れるしなやかな身のこなしなど、猫からイメージされる姿を望海風斗率いる個性豊かな雪組生達に重ね合わせ、バラエティ豊かな場面で構成する華やかでドラマティックなラテン・ショー。宝塚歌劇ならではの、ゴージャスで熱い夢の世界をお楽しみ下さい。

ショー・パッショナブル 『Gato Bonito!!』~ガート・ボニート、美しい猫のような男~

雪組公演 『凱旋門』『Gato Bonito!!』 | 宝塚歌劇公式ホームページ

 

全体とトップコンビ中心に

ダイスケ先生お馴染み、「あなたは〜〇〇〜」といった歌詞の歌で始まる幕開け、今回は組長梨花ますみさんが担当、可愛いニャンコちゃん達引き連れております。咲ちゃん(彩風咲奈)が銀橋から登場、男役勢揃いから、なんともムーディーに一人寝そべりながら登場するだいもん(望海風斗)。ねっとりした非常に濃密な空気を纏い、でもどこか気まぐれで淫靡な雰囲気はまさに「美しい猫のような男」。

作曲家咲ちゃんと猫のひらめちゃん(朝月希和)…からの猫達のラインダンス、だいもんがアドリブ力試される『黒猫のタンゴ』(ヒロシです、みたい…)のようなコミカルな場面もありますが、各場面から受ける印象は非常に色っぽく濃厚なものばかり。全体的には非常に「大人のラテンショー」と言った趣きでした。男役として充実期のだいもん雪組に相応しい内容だったと思います。

相手役真彩希帆ちゃんは、タンゴクラブで男役達を冷たくあしらう様が特にカッコ良くて「ヒュ~!」って感じで(笑)好き。あとはこのコンビならではの中詰め後の歌合戦『コパカバーナ』ですね!だいきほコンビは関係性がフェア。どちらに寄りかかる、というより互いが独立してバチバチやってる様が一番よく似合います。

場面構成自体は目新しい、というより、どの場面をとっても従来のフォーマットをほぼ踏襲している(幕開け、二番手場面、中詰め、総踊り、男役群舞、デュエットダンス、フィナーレ…)印象です。ただ、衣装(浅黒い肌に白い衣装)、男役×娘役の組み合わせ(上級生娘役と下級生男役)や歌手のピックアップ(新たな歌ウマさんに、意外な組見合わせ)、繋ぎの場面(新進スターとベテラン上級生)、ダンスの振り等でとても新鮮に思えました…!!

ダイスケショーのザッツ定番、「男役の女装」もあり…!雪組が誇る、2~4番手の美形男役の皆様、背中がざっくり開いたパンツスーツ、しかも地毛のショートでなんて…!これまでの「女装」感あるあるの「男役の女装」の衣装と違う扮装が新鮮…!!(これ着こなし難易度高すぎでは?)

総踊りがダイスケ先生がよくやる「破壊と再生」的なものではなく、土着的な踊りに徹底したのも良かった。(というかホッとした)振り自体もこれまでのいわゆる「宝塚に近しい振付家のそれ」ではなく、外部の振付家ならではの身体を駆使した激しいもので、これまた新鮮でした…!!

という訳で「新鮮」連発してます。

 

このショーの新鮮さについてさらに突っ込む

藤井大介先生、最近は「えっ、また総踊りで『破壊と再生』」するの?やっぱ男役の女装が見せ場なのね…みたいな自己模倣感強い作品が多かったように思います。

割と最近だと『HOT EYES!!』や『Sante!!』も個人的には好きだったけれど、客観的に見たらダイスケ先生スランプ…?って感じの、悪くはないんだけど、まあこれ、いつぞやもやったよね…この演出必要ですか…この作品このトップでやる意味ありますか…って部分もあったかと。

今回が良かったのは、大人の男役がやれるだいもん(と相手役の真彩ちゃん)にしっかりアテガキされしかも組子への目配りがすこぶる効いている点だと思います。

最近だと星組『Killer Rouge(キラールージュ)』 も組子によくアテガキされたショーでしたが、このショーの組む相手や歌ウマピックって、割と組ファンならお馴染みメンバーだったんですよね。大体男役と娘役が組む相手って、いわゆるスター格はスター格とだし、学年近い同士のことが多い。

今回は、上級生娘役と下級生男役で組ませていたり、新進スターの顔見せ的に使われることが多い「繋ぎ」の場面に別格上級生も配したり、デュエットを歌うペア…等々、顔ぶれがこれまでのショーの「普通」と「違う」。

先のヨシマサ先生作のショー、個人的にも大好きでした。でも、今回のような「スターの組み合わせや抜擢を楽しむ」…印象はなかったんですよね。曲は割と定番押さえたな、という印象でしたが、それでも「なんかどっかで観た…」感が(わたしには)ありませんでした。猫モチーフ自体は昔「美麗猫(ミラキャット)」というショーがあったようですけど(映像でも未見)、このショーは(猫耳使ってますが)あくまでも「美しい猫のような男」がテーマで、それは場面づくりにちゃんと現れていましたから。

「だから」新鮮で良いショーだったと思うのです。

スターについて

タンゴクラブでカリ( 煌羽レオ)とすわっち(諏訪さき)が一緒に歌っている…!ことに感動しました。だってカリさん決して歌ウマさんではない。でもすごく特徴ある声をしていて、下級生ながらよく芝居でソロ貰っている歌ウマすわっちと併せると、あら不思議、この場面にぴったりくる…!

「男役の女装」メンバーが次々だいもんと絡む場面での歌手、「あら、あの子とあの子が!」と顔ぶれが新鮮でしたし、ラストに「また」ヒメさん(舞咲りん)と叶ゆうりが組んでいる…!と自分の中で出落ちとツボ感凄いし(笑)、心が忙しかったです。あすくん(久城あす)芯で歌う場面なんて、周りにまなはる(真那春人)、カリ、あゆみさん(沙月愛奈)、ひーこちゃん(笙乃茅桜)なんですよ!今回はこ、こういうの見たかった…!!という短くも見応えある場面で嬉しくなっちゃいました。みんな舞台でつい追っちゃう実力派別格男役娘役さんですからね。キャリアを思えば納得だけど、新鮮な人選、尊い…!

同じく繋ぎの場面であーさ(朝美絢)に8人の豹柄(露出度高め)のお衣装の娘役さんが絡む場面、羽織夕夏ちゃんや希良々うみちゃんみたいな下級生のかわい子ちゃんが入ってるのもヨイ。なんせみんな普段の可憐なイメージと違う超セクシー衣装なのでドキドキ…!!あゆみさんと縣千くんはじめ、ベテラン娘役さんと新進男役さんが組んでいるのも、本当に新鮮でした。(今回は新鮮連発でお届けしてます)極め付けがエトワールに愛すみれさんですからね!パンチ効いてます!

おわりに 

ダイスケ先生、今回長年のスランプちょっと打開したのでは!と、感じました。初心に帰り、スターで魅せた今回のショー。場面構成自体は伝統を踏襲しながら、スターの顔ぶれでこんなにも新鮮になるのですね。

芝居はキャラがそれなりに立っている役を演じられる生徒さんって、多くてもせいぜい10そこそこ。でもショーはひとりひとりが「芸名の自分」として立てるのだから、どんな場面でも1人ひとり輝いていて欲しいし、むしろファンとしてはそれが超見たい!タカラヅカはどんな立ち位置でも絶対見てくれているファンがいますしね。

座付き作家の仕事は言ってみれば、「スターを輝かせる」こと。

路線スター、新進スター、若手、歌ウマ、ダンサー、それぞれの個性が放つ輝きが見たい。『Gato Bonito!!』の各スターへのアテガキは、どこもとっても適材適所。「座付き作家の仕事!!」なショーでした!

惜しむらくはわたしが雪組子識別能力が低め(席も遠め)なため、黒塗りだとやや顔判定に時間がかかったことです…(苦笑)。黒塗りショーの是非については個人的に思うところもありますが(過去記事:演劇におけるブラックフェイス問題と「Cultural appropriation」について。 )、芝居の物足りなさを吹き飛ばす、とっても楽しい猛暑の観劇となりました。

では、今回はこのあたりで。

ナギナリコ

 

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『悲劇喜劇』宝塚特集、読みました!

 

演劇ファンにはお馴染み、雑誌『悲劇喜劇』。

9月号(No.794)は「OH!(この特集タイトルは一体…)、宝塚特集です。

悲劇喜劇 2018年 09 月号

 

元々気になる特集や戯曲掲載がある時は読んでいた雑誌ですが、何せお値段が¥1400位して毎号買うのはちょっとネックでして…(みみっちくてスミマセン)

今回の特集は宝塚に関わりある人達からの寄稿、インタビューや対談等が充実してます。ちなみに戯曲掲載は永井愛さんの『ザ・空気ver.2』と中島淳彦さん作、鈴木裕美さん演出で上演された『宝塚BOYS』。宝塚BOYSはかって実在した宝塚の男子部が舞台のお話しです。

こちらの雑誌、『歌劇』の劇評や寄稿ってちょっと形式ばってて物足りなくなっちゃったわ〜って方に特にオススメですよ~!

お馴染み中井美穂さん、ポーの一族の原作者萩尾望都さん、ダンサー前田清実さんの鼎談をはじめ、バラエティ豊かな、各界で活躍されてる方が色んなテーマでお話されてます。往年のファンの方には懐かしいOGさんや関係者の記事もありますよ!

東宝の支配人としてよく劇場でお見かけする甲にしきさんの宝塚への思いですとか、

大浦みずきさんの妹さんがなつめさんの踊りを思い起こさせるジェンヌさんをつい追ってしまう、宇月颯さんのファンでカンパニー/BADDYかなり通った、という話も素敵でした。

どの記事も読み応え充分でしたが、中でも宝塚のパリ公演に通訳として同行した 演劇プロデューサー中根公夫さんの『愛しき面倒な演劇人』は、自虐とユーモラスな語り口、当時のタカラジェンヌ達の意外な?一面がうかがえる味わい深い文章でした。

2.5次元と宝塚、歌舞伎と宝塚の話題、作品ではBADDYへの言及がなんとなく目がいったかな。意外と『歌劇』ではあまりないレビューについて言及されている方も多かったですね。宝塚は『TAKARAZUKA REVUE COMPANY』ですからね!

 

あと個人的気になった内容…

劇団演出家からの寄稿は小池修一郎さんと原田諒さんでした。

小池先生は宝塚の歴史的な文脈からの話が中心でしたが…「トップスターという存在が固定されているのですから、演目によって相手役を変えるほうが物語のバリエーションは増えると思います。」と言った記述が。

もちろんトップ娘役を決めないことはファンの異論を招く、とファンの気持ちにも触れているのですが…え…イケコ「座付き」演出家としてトップコンビについてそういう風に思ってるの?!とちょっと…。「これから何が起こるかわからない」みたいな〆だったのもモヤモヤ。大筋は客観的な記述だったので私が穿ち過ぎなだけ、かもしれませんが。

というか(まだ続ける)、昔トップスターの相手役が固定化されていなかったのって、今よりずっとトップの在任期間が長かったこと、公演数も少なく、スカステもなく割とジェンヌ人生の時間的余裕があったからだと、私は(勝手に)思っているのですが。(おそらく、言い方悪いですが)今の酷使されまくって、大体大劇場5作、二年半位で卒業してしまうトップ二人に、それはないよな~…と思います。トップコンビは言うなれば唯一無二の仕事のパートナーですよね、コロコロ代わるべきじゃない。娘役を軽視してる感もありますしね…(あとそんなに柔軟に娘役に役描ける座付いますか…ゴニョゴニョ)

絶対この2人はカップル!コンビ!という理想化された男女の姿が観たいんですよ!観客は!

 …と大部分イケコへのツッコミでしたが、原田先生についても。これからの「宝塚らしさ」を模索してる内容でしたね。今の定石とされる演出へのあれこれ等。他の舞台にも詳しく、勉強熱心な方だな、と。(何目線ですか、わたし)

原田先生!そこは今こそ洋物ショー作家デビューですよ!(強調)

詳しくは!是非誌面でご確認下さい!

ここで紹介した箇所は本当極々一部分ですので。

ではでは本日はこのあたりで。

予定変更してますが、次こそは凱旋門と併演の『Gato Bonito!!』のレビューをお届けします~!

ナギナリコでした。

 

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実話を元にしたブラックコメディの裏を読む@『スターリンの葬送狂騒曲』

こんにちは。最近気付いたのですが、何故か?このブログ、

www.hotchillireviews.net

というサイトの映画レビュアーランキングトップ300位に選ばれているようです。個人の方が運営しているサイトで、わたしのような辺境ブログをなぜ入れてくれたのか不明ですが…ブログ村からかな?

ご存知の通りこのブログ、半分以上は「ヅカネタ」「舞台感想」で運営しておりまして、映画ネタは週に一本あればいい方(まだ十数本くらい)なんですよね。映画も好きですし映画ファンのサイトに載せてもらえること自体は嬉しいことですので、これからもせめて週1位は映画ブログをアップしていこうと思います。

さて、映画ファンならなかなか興味惹かれる題材を扱った「スターリンの葬送狂騒曲」を観てました。スターリンの死を前にした、側近達の右往左往をコミカル、かつシニカルに描いた意欲作です。

 

あらすじ

“敵”の名簿を愉しげにチェックするスターリン。名前の載った者は、問答無用で“粛清”される恐怖のリストだ。時は1953年、モスクワ。スターリンと彼の秘密警察がこの国を20年にわたって支配していた。
下品なジョークを飛ばし合いながら、スターリンは側近たちと夕食のテーブルを囲む。道化役の中央委員会第一書記のフルシチョフスティーヴ・ブシェミ)の小話に大笑いする秘密警察警備隊長のベリヤ(サイモン・ラッセル・ビール)。スターリンの腹心のマレンコフ(ジェフリー・タンバー)は空気が読めないタイプで、すぐに場をシラケさせてしまう。 明け方近くまで続いた宴をお開きにし、自室でクラシックをかけるスターリン。無理を言って録音させたレコードに、ピアニストのマリヤ(オルガ・キュリレンコ)からの「その死を祈り、神の赦しを願う、暴君よ」と書かれた手紙が入っていた。それを読んでも余裕で笑っていたスターリンは次の瞬間、顔をゆがめて倒れ込む。
お茶を運んできたメイドが、意識不明のスターリンを発見し、すぐに側近たちが呼ばれる。驚きながらも「代理は私が務める」と、すかさず宣言するマレンコフ。側近たちで医者を呼ぼうと協議するが、有能な者はすべてスターリンの毒殺を企てた罪で獄中か、死刑に処されていた。仕方なく集めたヤブ医者たちが、駆け付けたスターリンの娘スヴェトラーナ(アンドレア・ライズブロー)に、スターリン脳出血で回復は難しいと診断を下す。その後、スターリンはほんの数分間だけ意識を取り戻すが、後継者を指名することなく、間もなく息を引き取る。この混乱に乗じて、側近たちは最高権力の座を狙い、互いを出し抜く卑劣な駆け引きを始める。表向きは厳粛な国葬の準備を進めながら、マレンコフ、フルシチョフ、ベリヤに加え、各大臣、ソビエト軍の最高司令官ジューコフまでもが参戦。進行する陰謀と罠――果たして、絶対権力のイスに座るのは誰?!
【公式】『スターリンの葬送狂騒曲』8.3公開/6秒動画

【映画パンフレット】 スターリンの葬送狂騒曲 アーマンド・イアヌッチ 監督 スティーブ・ブシェーミ, サイモン・ラッセル・ビール, ジェフリー・タンバー,

映画『スターリンの葬送狂騒曲』公式サイト

 

共産主義のイメージを逆手に取った「笑い」

スターリン、もとい共産党統治下のソ連についてポジティブなイメージを持っている方っていますか?まあ、いませんよね…逆らうものすべて粛清だの、国民を飢えさせ経済発展を滞らせただの…物騒で凄惨な話ばかりで、現代に至るまでの「赤」、「共産主義」に対するネガティヴイメージは元はソ連と中国の共産主義の敗北に起因すると言っていい。

それがこの映画はブラックジョークを多用し、スターリン自身を遠慮なく「おもちゃ」にし、笑いを誘う場面で構成しているのです。そりゃ、ロシア本国では上映出来ないよな、という内容。

観客は罪なき人がどんどん連行され、あっという間に、(時に何とリズミカルに!)人が死んでいくのを見ながら、一方でスターリンに恐れおののく人びとの滑稽さ、側近達の慌てふためく様子に非常におかしみを覚えます。

役者陣には、なにこのおっちゃん達カワイイ…!と、ときめきさえ感じてしまう出来。いや、まじでカワイイのです、あたふたするおっちゃん達が。

スターリンの娘スヴェトラーナに取り入ろうと我先に走り寄る様や、いざスタリーンが死んだ?!となった時の慌てふためきよう。スターリンを医者に診せなければ、でも優秀な医者は全員殺してしまった…という共産主義あるあるブラックジョーク、なんて冴えてるんでしょう。不謹慎だけどユーモラス。

本当にあの共産主義国家を舞台にした映画…?!という位、結構な凄惨場面を前にしても劇場にこだまする笑い声。かくいう私もくすくす笑ってしまいました。主要な登場人物たちの初登場場面に大げさな劇伴や演出を入れてるのも(特にソビエト軍最高軍事司令官ジューコフ)ヒーローものか!って感じですごくとっつき易いし、カッコイイ。俳優たちも(おっちゃんばっかりですが)皆達者で非常に会話のテンポもいい。キャスティングもハマってましたね。スターリンのおバカ息子ワシーリー(ルパート・フレンド)なんて個人的に超ツボに入ったキャスティングでしたし、フルシチョフ(サイモン・ラッセル・ビール )なんかもああ…ぴったりだな…と。シェイクスピア俳優で名高い役者さんがベリヤを演じていたのも印象的でした。

もうほぼコメディ映画ですが、この「狂騒から生まれてくる笑い」というのが後ほど効いてきます。

 

「笑い」と表裏一体、人間の残虐性を知る

雲行きが変わってくるのがスターリンの葬儀と後継者争いの話が進展し始めてから。マレンコフが(一応)後継者となり、スターリンの葬儀が国を挙げて行われるわけですが、モスクワに大挙した民衆に発砲騒ぎ、多数の死者が出る…と同時に、裏ではベリヤ暗殺をフルシチョフらが企てる。フルシチョフのさり気ないけど、なんやかんやで上手く立ち回り、権力を獲得していく様といったら!ただの「スーツの下にパジャマ着て出掛けちゃう愛妻家のおっちゃん」ではありません。一見「食わせ物」と見せかけ、でも実は運よくのし上がっていくしたたかさ、ってなんだかすごくフルシチョフっぽい…!と思いました。

ベリヤの死、あたりはもうクライマックスですが、非常に毒々しく皮肉が効いています。ベリヤは実際にもこの映画でも非常に存在感ある人物。あれだけカジュアルに「人の死」に笑った観客が、ベリヤの死に際しては全く笑えない。なぜかというと、彼の死だけは、殺されるまでの過程が「しっかり」「生生しく」描かれているから。頭に発砲され、リアルな赤い血が流れ、最後は石油をかけて燃やされる、という非道さ。あんなにキュートだったおじさん達はどこにいったの、という残忍ぶりです。

また、冒頭のある家庭のエピソード、息子の通報で父親が連行されてしまう、でもクライマックス間際、スターリンの死後、父親が戻ってくるというというエピソード、短いけれど非常に示唆的です。父親の底知れぬ瞳の奥の色と、息子の呆然とした瞳が忘れられません。この時代、恐ろしいけれどこういう事例はありふれていたのでしょうね。

また、白眉はこの映画のクライマックスとエンドロール。この映画、ある演奏会から始まり、最後も演奏会で終わるのですが、フルシチョフのあとのブレジネフ、という存在をさり気なく予感させる終幕。スターリンの死、だけでは終わらないソ連共産党の複雑な歴史を思わせます。エンドロールではこの映画の登場人物たちやソ連の民衆達の実際の写真が映し出されていくのですが、その顔に次々と「バツ」印、と非常にシニカル。

ここに至って、この映画を「笑う自分」と「己の残虐性」を意識せざるを得ないんですよね。旧ソ連にまつわるあれこれ、というのは誰もがみんな知っている。「でも」どこか他人事として、昔話として思っていないですか…?という。日常で「ふつう」に人が死ぬ、殺される。一体何人が殺されたのか。そんな恐ろしい出来事をカジュアルに笑える世の中なんですよ、今は。

数々の笑いを誘う場面で観客が爆笑の渦に巻き込まれていく様はまさに「狂騒」。しかし後半になるにつれて客席の笑がどんどん凍り付いていく様が印象的でした。「笑い」とは「客観視」「他人事に」しているから生まれるもの、バカバカしく滑稽に写るからこそ、ですよね。この映画、数々の実話を元にしていて、現代人からすると、え、本当に?!みたいな出来事も多数。でも確かに「おなじ」人間が行ってきた歴史的事実。実話をもとにしているんですよね……はからずも現代社会の世相をどこか意識させるエンディング、寒気がします。ある意味、「納涼映画」ですね。

 

おわりに、日本語版タイトルについて

日本語版『スターリンの葬送狂騒曲』というタイトル、音楽の使い方が印象的なこの演目にはとても合っていてセンスがいい。原題の『The Death of Stalin』からとても良い改変でした。(何せ日本に持ってくるとダサタイトル現象多いですよね…)

上映館徐々に減っていますので、興味のある方、是非ご覧ください!問題作、かつ意欲作です。映画好き、歴史好き、お芝居好き…の中でもコアな趣味の方に特におすすめです。

劇場情報|映画『スターリンの葬送狂騒曲』公式サイト

ではナギナリコがお届けしました!

 

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