宝塚座付演出家原田諒が第43回菊田一夫演劇賞受賞!受賞作品やその他演劇賞について考える。
本日、第43回菊田一夫演劇賞の授賞作品が発表されました!
菊田一夫演劇賞は、演劇界では大変有名な賞でありまして、これまでの43回のなかで数々の素晴らしい演劇作品や劇作家・演出家、名俳優、スタッフが受賞されています。
今回は、
大賞
「ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~」上演関係者一同 「ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~」の高い舞台成果に対して
演劇賞
城田 優 「ブロードウェイと銃弾」のチーチの役の演技に対して
戸田 恵子 「Sing a Song」の三上あい子の役の演技に対して
神田 沙也加 「キューティ・ブロンド」のエル・ウッズの役の演技に対して
原田 諒 「ベルリン、わが愛」「ドクトル・ジバゴ」の脚本・演出の成果に対して
特別賞
甲斐 正人 永年の作曲及び音楽活動の功績に対して
の授賞となりました。おめでとうございます!
例えば宝塚に関して言えば、古くは白井鐵造さん、淡路千景さん、遥くららさん、大浦みずきさん、鳳蘭さん、香寿たつきさん…数えきれない数々のOG、男役トップスター、トップ娘役が受賞。最近では植田紳爾先生、小池修一郎先生、「ベルサイユのばら」、100周年時、「スカーレットピンパーネル」等。
そして今回原田諒さんが若くして受賞されました。
これが、すでに発表段階からファンの間で物議を醸しだしています。
いわく、「ベルリン、わが愛」は納得いかない、「ドクトル・ジバゴ」は良かった/イマイチだった等様々。原田諒先生は宝塚歌劇の演出家のなかでは、いわゆる「駄作」を生み出す演出家としてファンの覚えがあるからなんですね。宙組凰稀かなめ「白夜の誓い白夜の誓い —グスタフIII世、誇り高き王の戦い—」星組紅ゆずる「ベルリン、わが愛」。この二つは宝塚ファンの間であまり評価の高い作品とは言えません。
他大劇場以外の月組美弥るりか「瑠璃色の刻」、雪組望海風斗「アル・カポネ —スカーフェイスに秘められた真実—」も賛否両論、どちらかと言うと否の方が多い印象。
一方で読売演劇大賞優秀賞を受賞した専科轟悠主演「For the people —リンカーン 自由を求めた男—」は原田諒作・演出作品の中ではそれなりに評価の高い作品だったと思います。
わたしはビリー・エリオットが昨年観たミュージカルや舞台のなかででほぼトップに近いポジション!で、wowow等の演劇賞にも視聴者投票で推しました。(余談ですが本国のミュージカルライブ版も素晴らしいです)
あとの三名のノミネート作品については生で鑑賞していないのですが、評判を聞いているものもあります。甲斐正人さんは直近の宝塚の舞台では「BADDY(バッディ)
ー悪党(ヤツ)は月からやって来るー」「シトラスの風-Sunrise-」
~Special Version for 20th Anniversary~や、数々の海外ミュージカル、演劇作品の音楽を長年務めてらっしゃいます。
おめでたい。しかし、宝塚の選考については、少し、思うところもあります。
以下、前に書いた「ドクトル・ジバゴ」の感想です。
わたしの演劇賞に関する、宝塚ファンとしての気持ちは、以下にまとめてつぶやきました。
様々な演劇賞の受賞作品や、審査員、選考方法に対して、一、演劇ファンとして、色々思うことがない訳ではないです。しかしですね…主に宝塚(歌劇観賞専門)のファンが、その他演劇賞の受賞作品を見てもいないのに、この賞自体について、あれこれモノ申すの、ちょっと違うんではないか、と思う。
— ナギ ナリコ@やるしかない7月。 (@nagi_narico) 2018年4月4日
結局、一演劇(宝塚)ファンや観賞者にどんな噂がたとうとも内部の事情はわからない、です。だから、賞自体が黒い、意味ない、テキトーに選んでる等、よからぬ噂を立てないで欲しい。これまで数々の名作や名駅が選ばれてる。以前宝塚作品の受賞に対し、そんなツイートを目にし、とても憤った。
— ナギ ナリコ@やるしかない7月。 (@nagi_narico) 2018年4月4日
↑これ誤変換で「名駅」「名演」です。
賞の選考過程や受賞作品について、あれこれ言うのなら、少なくとも全受賞作品やノミネート作品を見ていないと、お話しにならない。なのに、自分の気にいらない(宝塚)作品が選ばれたからと言って、賞自体を否定したりあらぬ噂を言うの、おかしいと思う。全作見てるなら堂々と、自分の意見を言えばいい。
— ナギ ナリコ@やるしかない7月。 (@nagi_narico) 2018年4月4日
今回の受賞について、わたしはビリー・エリオットの受賞がとても嬉しいし、絶対また日本で再演してほしい。残りの受賞者三人については生で見ていないので、何も言えません。評判は聞いていたり、いなかったりする。宝塚についてはベルリン、わが愛は評価できる作品とは思えず、ジバゴは良かったと思う
— ナギ ナリコ@やるしかない7月。 (@nagi_narico) 2018年4月4日
なんていうか、宝塚作品を既存の演劇賞の枠組みで評価するのが違和感なんだよな〜エンタメエンタメしてて、ヴィジュアル特化、時間や出演者の制約がキツく、様式美が凄い。宝塚に対しての外部の脚本・演出家と比べれば、もし普通の芝居やミューの本書かせたらダメダメな人も宝塚には多いと思うのよ…
— ナギ ナリコ@やるしかない7月。 (@nagi_narico) 2018年4月4日
以前、原田諒さんが先述のFor the peopleで読売演劇賞を受賞された時、読売演劇賞も大したことない、見る目ない審査員、なんて意見がSNS上で散見されました。
それを見てわたしは一演劇ファンとしてとても複雑な感情を覚えたのを覚えています。
今まで、どんな名俳優や、名演出家、劇作家、スタッフが授賞されていると思っているの!宝塚以外の舞台作品について詳しいわけでもないのに、失礼な噂を流したり、言ったりしないでほしい───!!と。
今でも、思うことは一緒です。
宝塚ファンの中には、「宝塚以外」の「外部」の舞台をほとんど見ない方も結構な割合でいらっしゃいます。
恐れながら、その方たちに、読売演劇大賞や菊田一夫演劇賞についてどうこういう資格があるの───?とは思います。
わたしも今回ビリー・エリオットと原田諒演出作品以外については、生で観劇していないので、作品や役者にどうこう言えた義理・立場ではない。だから、そんな無礼な、侮辱的な言い方はするべきではないと思います。お金を払って、見てちゃんというなら自由です。
一方で、宝塚作品については、いわゆる宝塚にたいして「外部」の舞台作品とどうも別のくくりで選出されているような気がしてなりません。100周年の授賞なんて、まさにそうですよね。
ただの観劇ファンには、演劇賞の選考過程は不透明で謎な部分も多いです。選評すらでないこともある。カネ・コネ系の噂は常にありますしね。
しかし、演劇賞というのは、演劇の振興、発展にはかかせないものです。演劇はそもそも観客の絶対的母数が少ない舞台芸術、娯楽、エンターティメントですので、こういった賞作品で「箔」を付けたり、演出家や審査員が講評を書いたり、素晴らしい仕事をされた演劇人を表彰するのも、また大切なことです。
宝塚でも上田久美子さんの傑作舞台「翼ある人びと − ブラームスとクララ・シューマン -」が鶴屋南北戯曲賞の候補作になっています。
わたしがウエクミせんせいを覚えたのはこのノミネートがきっかけ。
でもやっぱりちょっとモヤモヤするところはありますね…せめて、選考過程等もう少し一般の観客にとって透明性の高いものにして欲しいものです。
思い立ったので一気に書いてしまいました。ここまでお読みいただき、ありがとうございました。ナギナリコでした。