ENTREVUE BLOG

「ナギ」ですが時にはあらぶり「エンタメ」「すきなこと」について書く。演劇・宝塚・映画・本、アート・旅行等娯楽、趣味の話とたまにの真面目コラム。

幻の新公主演、宇月颯の魅力を語る@宝塚月組新人公演『ジプシー男爵 -Der Zigeuner Baron-』-ヨハン・シュトラウスII世 喜歌劇「ジプシー男爵」より-』

こんにちは。

月組男役スター 宇月颯さん

kageki.hankyu.co.jp

現在東京宝塚劇場げ公演中の

月組公演 『カンパニー -努力(レッスン)、情熱(パッション)、そして仲間たち(カンパニー)-』『BADDY(バッディ)-悪党(ヤツ)は月からやって来る-』 | 宝塚歌劇公式ホームページ

で宝塚をご卒業されます。宝塚専用チャンネル、スカイステージでは、退団する生徒に合わせて番組編成が行われることが多いのですが、4/5深夜宇月颯さんが新人公演主演を果たした公演の放送がありました。それがとても素晴らしかったので、レビューしたいと思います。ちなみに、おそらく宇月颯さんがご卒業後、今後スカイステージでこの新人公演が放送されることはないかと思われます。なので「幻の」とつけました。

映像を持っている方は是非・公演を見てみて下さい。

 

ヨハン・シュトラウス作曲のオペレッタ「ジプシー男爵」を、現代的にリメイクしたミュージカル。1738年、オーストリア=ハンガリー帝国の東南端の町・テメシュバールは、二十数年前まではオスマン・トルコの支配下にあったが、ベオグラードの戦いの勝利でハンガリー帝国に帰属していた。そんなテメシュバールにはトルコ総督が逃走する際に隠した財宝があると言い伝えられていた。そこへトルコと内通していたとの濡れ衣で亡命を余儀なくされていた、テメシュバールの領主の息子シュテルク・バリンカイが帰って来た。財宝を巡り様々な思惑が交錯する中、シュテルクは、哀愁を帯びたジプシー娘ザッフィの歌声に導かれ、バリンカイ家の城跡へとやって来る。そこには国中のジプシーがシュテルクの帰国を聞き集まっていた。シュテルクの亡き父親は、人々が蔑むジプシーたちを保護し支援していたのだ。シュテルクは亡き父親と同じ思いで、「ジプシー男爵」の名を継ぎ、ザッフィを妻にすると宣言するが……。

 

『ジプシー男爵 −Der Zigeuner Baron−』『Rhapsodic Moon(ラプソディック・ムーン)』 | 月組 | 東京宝塚劇場 | 宝塚歌劇 | 公式HP

霧矢大夢さんと蒼乃夕妃さんコンビに演出家の谷正純先生がオペレッタを基に書き下ろした原作付オリジナル作品です。

ちなみに、霧矢さんが演じたものはおそらく映像で撮ってあると思うのですが…最後まで見た記憶がありません…(たぶん途中で眠くなった)

霧矢大夢さんは宝塚時代は映像でしかしりませんが、好きなトップさんのひとりです!!

しかし今回はこの新人公演の感想を述べながら、宝塚の男役、宇月颯さんの魅力について語りたいと思いますので!宜しくお願いします!

幕開け、ロマの男女ふたりがデュエットダンスを踊ります。

新人公演では宇月颯さんと相手役は花陽みらさん(現在の花陽みくさん)。

深いスリット入りのロングドレスのロングジャケットを羽織った、お揃いの、白ベースに、流麗なラインが入ったもの。

この芝居のアバンともいうべき場面は熱く、濃厚な男女のデュエットダンスです。宝塚では、娘役は男役に「寄り添う」ことを求められるのが多いのですが、このダンスではバチバチと火花が散るような激しいダンスです。途中少し呼吸が合っていないかな?と思わせる場面もありましたが、宇月颯さん(当時研7)と花陽みらさん(研4)、下級生にしてはレベルが高いように感じました。

そして舞台は変わって、ハンガリー、シェーンブルグ宮殿。亡き父親の領地を相続する権利を持つバリンカイ(宇月颯)がマリア・テレジア(彩星りおん)に謁見します。

バリンカイは粗野で宮廷での礼儀作法を知らない自由人。「風のように~」の歌が象徴的です。けれど、宇月颯さんの元々の持ち味である少年性、若々しさ、爽やかさ、明るさ等が加わってとてもチャーミングな人物となっています。バリンカイの父の領地・テメシュバールは、豚飼い商人のジュパン(珠城りょう)が我が物顔でふるまっており、この地のどこかに眠っているという秘宝をねらっており、また三人の娘たちのいずれかをバリンカイに嫁がせようとします。が、バリンカイはある夜ジプシーの娘ザッフィの歌声に魅せられ、彼女に惹かれていき、ジプシーの民(現在ではロマという呼称)の人びとの付き合うようになります。ジプシーのパリ(煌月爽矢)、ジュパンの家の使用人オトカー(紫門ゆりや)との出会い等も描かれ、身分の差等でひと問答、ドタバタ劇となりますが、結果バリンカイは「ジプシー男爵」となりザッフィと結ばれ、実はザッフィはトルコの王族の血をひく娘だとわかったり、ふたりが「真実の愛」で結ばれたことでなんと隠れた財宝まで見つけてしまいます。

…とまあ、話の筋としてはオペレッタよろしく、ご都合主義のオンパレードですが、見どころのあるダンスシーンも多く、新人公演で人数は30人近く減っているのですが、とても楽しめました。主演の宇月颯さんは縦横無尽の活躍!霧矢大夢さんは小柄ですが大人の持ち味の三拍子そろったトップさんでしたから、持ち味だけならかなりの「アタリ役」だったのではないでしょうか?ダンスも下級生とは思えない程上手く、歌もやや不安定な部分がありますし、今の方がもちろんうまいのですが、8年前、経験も少ない下級生で…と考えるとかなり高レベルでこなしていたと思います。宇月さんの歌は、なんというかとてもドラマティックなんですね。そして宝塚屈指のダンサーで、月組を観劇に行くといつもそのダンスに目を奪われてしまうのですが、歌も芝居もなんでも出来る方。

この若々しい自由人・バリンカイは本当ぴったりだったのではないでしょうか。相手役の花陽みらさん(当時)は歌が大変上手(併演ショーのエトワール)で、踊れていましたし、芝居も情感があって良かったです。二人のシーン等、とてもロマンチックな出来になっていました。

他に退団された煌月爽矢さんのパリ、紫門ゆりやさんのオトカーが本役龍真咲、明日海りお、ということで割と大きな役。これも持ち味にあっていましたし、現トップスター珠城りょうさんのジュパンは本役が専科の汝鳥伶さん。(谷正純先生作品ではお馴染みの登板)このキャラクターはおそらく、本公演と結構役作りを変えていそうで(新人公演の演出は上田久美子さん)、まだかなり下級生で声も高く拙いのですが、内なる芝居心みたいなものは感じました。OGの彩星りおんさんは珠城さんと組んで「スカーレットピンパーネル」の新人公演でマルグリットを演じている歌ウマさん。女帝マリア・テレジアを威厳と存在感を持って演じられていました。

すべて観終わって…挨拶まで見て…思ったのは…ああ…うまいなあ、と。

当時の月組、映像ですべては判断できないですが、新人公演としてはなかなかの高レベルだったんではないでしょうか。「芝居の月組」の面目躍如です。今存在感のある脇役を務めている上級生たちが(他に響れおなさん、白雪さち花さん、組替え前の鳳月杏さん等)下級生ながら、活躍されていました。

すごいぞ月組・2010年「ジプシー男爵東宝新人公演」!

正直な話、宇月颯さんはこの後月組で三拍子揃った男役として数々の役柄を演じ、芝居にショーに活躍し、今退団を目前に控えているのですが…こんな原石のようなキラキラした存在感のある宇月さんに、もっと別の道はなかったのか、とちょっとこの公演を見て思いましたね…明日海りおさんや珠城りょうさんという強力なスターが近い学年にいましたし、紫門ゆりやさん、煌月爽矢さんや鳳月杏さんもいましたが、それ位素晴らしかったです。

 

わたしが好きな宇月颯さんの役柄は、

例えば

『春の雪』の飯沼茂之

『春の雪』 | 月組 | 宝塚バウホール | 宝塚歌劇 | 公式HP

『グランドホテル』の運転手、『カルーセル輪舞曲』の『飛翔』の歌唱

飛翔(インド洋)

飛翔(インド洋)

  • provided courtesy of iTunes

 月組公演 『グランドホテル』『カルーセル輪舞曲(ロンド)』 | 宝塚歌劇公式ホームページ

『All for One』のアトス

月組公演 『All for One』 | 宝塚歌劇公式ホームページ

 等々。あとはもうとにかく「ザ・男役」!!って感じのスーツにソフト帽のようなダンスや燕尾のダンス、オラオラ系のダンスが好きでした!!動きに趣きがあり視線の使い方も素晴らしい…!

あとは…所詮直接話したこともないファンの戯言ですが…お人柄も素晴らしいと思います。

宝塚専用チャンネル、スカイステージでソロで一番組や場面を任されたりすることもあったのですが、例えばタカラヅカニュースの「男役道」、「夢みるチカラ」でハーブプランナー すずきちえこさんとの素敵なやり取り(すずきちえこさんがTwitterで宇月颯さんご卒業についてつぶやかれてましたよ!感動)。

r-handmadesoap |

JURIの音楽同好会での笑い上戸っぷり、等お話ししている様子がとても朗らかで、おしゃべりもいつも上手で、感じが良くて、印象に残っています。「Memories of 宇月颯」というスカイステージでの卒業記念番組があるのですが、こちらも言葉を選びながら、明るく楽しそうにお話されていて、しかもナレーションにもスカステスタッフの力が入っていて、最高でした!(こちらはまだ放送あると思います)

MXのタカラヅカカフェブレイクでもいつも楽しそうにお話しされていて、素敵だな、って思って楽しく見ていました。美弥るりかさんとの仲の良さも外せないポイントですね笑

s.mxtv.jp

 #837 2018/04/20 放送 月組/宇月 颯

注:宇月さんラスト出演がこれからありますよ!!

ご本人の舞台人としての実力、スキルに加え、お人柄も魅力的な方だな…といち宝塚ファンで、直接お話ししたこともないわたしですけれど、本当にそう、思います。

ご卒業後どうされるかはまだまだ分からないですけれど、パフォーマーとして活躍される姿はまた別の舞台でも観たいなあ、なんて夢見ています…

それよりまずはカンパニー/BADDYですけどね!!通います!!こちらも良い役で!!ギラギラ・キラキラ・アイドルグループのリーダー、ショーではもうその素敵な男役芸とダンススキルが楽しめる踊り、情熱的なカゲソロ、ラストの…等見せ場たっぷりです…

今月スカイステージで初放送される宇月さんを中心としたディナーショー、「MOON SKIP」も楽しみ。

番組詳細|宝塚歌劇 衛星放送チャンネル|タカラヅカ・スカイ・ステージ

 

 なんだか、つらつらと書いていたらだいぶ長い記事になってしまいましたが苦笑、千秋楽のその日まで、男役・宇月颯を存分に堪能させて頂きたいと思います!

ナギナリコでした!

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