ENTREVUE BLOG

「ナギ」ですが時にはあらぶり「エンタメ」「すきなこと」について書く。演劇・宝塚・映画・本、アート・旅行等娯楽、趣味の話とたまにの真面目コラム。

小気味良い会話とマッケンナ・グレイスの名演が輝る@『gifted ギフテッド』

今日は少し前に鑑賞しました『giftedギフテッド』をご紹介します。数学の天才(ギフテッド)のメアリーと、その叔父フランクとのユーモラスなやり取りも楽しい、素敵な映画でした。

 


クリス・エヴァンス出演 映画『gifted/ギフテッド』予告

フロリダの海辺の街で、ボートの修理をして生計を立てている独り身のフランク。彼は、天才数学者だったが志半ばで自殺してしまった姉の一人娘、メアリーを養っている。彼女は、先天的な数学の天才児“ギフテッド”であり、周りは特別な教育を受けることを勧めるが、フランクは「メアリーを普通に育てる」という姉との約束を守っていた。しかし、天才児にはそれ相応の教育を望むフランクの母イブリンが現れ、フランクとメアリーの仲を裂く親権問題にまで発展していく——。

映画『ギフテッド』オフィシャルサイト| 20世紀フォックス ホーム エンターテイメント

 

まず、はじめフランク(クリス・エヴァンズ)とメアリー、二人の朝からストーリーがはじまります。この時点で、観客はこの二人がどういう関係かは、あらすじを読んでいなければ知りません。けれど、この二人のくだけたテンポのいい、ユーモアたっぷりなやり取りで、彼らが親子ではないのがわかる。そして、仲が悪くない関係なのもわかります。スペシャルな朝ごはんだ」って起こして「ケロッグコーンスペシャル(コーンフレーク)」が出てくるくだりなんて楽しいですね!

公立の小学校に入学したギフテッド(数学の天才)、メアリーは、早くもクラスに馴染めず、学校を飛び出す、迎えに来たフランクに、教師が追いかけてくると「1+1を教えに来たのよ」なんて辛口も飛ばす。

この映画、終始こんな感じでメアリーとフランクを中心にテンポの良いユーモラスな台詞の応酬で続きます。

昔、「I am Sam アイアムサム」という名作映画がありましたが、こっちは「叔父と姪」もの。年上の親族とまだ若い女の子、ってのがポイントかな。

話の中心は、数学の才能に恵まれたメアリーの元に祖母(フランクの母)がやって来て、親権争いに発展していってから。叔父であるフランクのちょっとしたロマンスや、メアリーの小学校での活躍も描かれます。

 

この映画には視聴者にさり気なく隠されていることがあります。

ひとつは、・メアリーの母の死の真相

もうひとつは、・叔父であるフランクの過去

このあたりの秘密が最後に感動的に解き明かされていく。

近い時期に公開され、邦題が物議を醸し出した『ドリーム』の様に、この映画でも主人公メアリーが数式に向き合う場面が出て来ます。

ドリーム (字幕版)

メアリー役マッケンナ・グレイスの数式と対した時の凜とした瞳が美しい。ふだんの、飼い猫といる時の愛くるしさや、ちょっと生意気そうなところも、とってもチャーミングです。

ドリームにも出演していたオクタヴィア・スペンサーが隣人の気のいい愛情深いおばちゃんを演じていて、フランクにつく弁護士も黒人系の人情派弁護士。祖母イブリン(リンゼイ・ダンカン)側の弁護士は白人系の怜悧なタイプ。メアリーの父親とともに対比構造がはっきりとしています。

ところで…アメリカではいわゆる黒人系の俳優の使い方は常に議論の的ですね。この映画も、白人系の主人公の側にいる素朴で愛情深い知的な人間、として描かれていますが、「ショーシャンクの空に」しかり、こういう型にハマったステレオタイプ、白人を助けてくれる妖精的な黒人系の俳優の使い方もいずれ、なくなっていくのでしょうか。うーん、やっぱり日本に住んでいる日本人のわたしにはまだまだ不勉強な感じでなんとも言えないですが…

あと、印象的なところとしては、やはり小道具の使い方が巧みでした。

言って見れば飼い猫も小道具だし、数式やGoogle検索云々、がキーアイテムになっている。普遍的なテーマを扱っていても、小道具はきちんと現代的なところを取り入れています。そこがいい。

こういう「天才ものの映画」って、定期的に名作が生まれますが、この映画もまた、そんな映画の一つかもしれません。「ドリーム」と「数学映画」つながりで一気に見るのも楽しいです。

名演を見せた小さな大女優・マッケンナ・グレイスに大きな拍手を。そして彼女の飼い猫にも!という感じで〆させて頂きます。ナギナリコでした!

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