ENTREVUE BLOG

「ナギ」ですが時にはあらぶり「エンタメ」「すきなこと」について書く。演劇・宝塚・映画・本、アート・旅行等娯楽、趣味の話とたまにの真面目コラム。

礼真琴、力強さを見せつける!佳作@宝塚星組『阿弖流為 –ATERUI–』

こんにちは。2017年の宝塚が打ち出した作品の中でもなかなかチケットが取れなかった話題作、礼真琴さん主演の阿弖流為、DVDを購入しました。チケットが取れなくて、でも好評は聞いていて、どんな作品かな、と思っていたんですが、好きな娘役である有沙瞳ちゃんや音波みのりちゃんも出ているし、わたしはこっそり星組ファンだし、星組子の活躍を見ねば…ということで。結果、購入して良かったです。礼真琴初東上作品(宝塚と関東の劇場両方でやること)として大成功だったんじゃないでしょうか。

火怨 上 北の燿星アテルイ (講談社文庫)

 

1999年に講談社より刊行され、2000年に吉川英治文学賞を受賞した高橋克彦氏の小説「火怨」を舞台化。8世紀、東北へ支配領域を拡大する大和朝廷蝦夷征伐に乗り出す中、故郷を守る為に立ち上がった蝦夷の若き指導者・阿弖流為は、仲間と力を合わせ朝廷軍を打ち破っていく。しかし勝利は更なる戦いを招き、やがて朝廷軍の切り札である坂上田村麻呂に征夷の命が下される。蝦夷の誇りを守るため戦う阿弖流為の生き様を、迫力に満ちた立ち回りを織り交ぜ、スペクタクルなミュージカル作品としてお届け致します。

 

星組公演 『阿弖流為 –ATERUI–』 | 宝塚歌劇公式ホームページ

 

星組という組と言えば!宝塚の5組の中で一番個性的で派手でゴージャスな組だと思います。そんな星組の持つ勢い、スケールの大きい感じが良く出てる演目でした。日本青年館リニューアル後の柿落とし公演でもあり、万能選手の人気スター、星組現二番手の礼真琴が主演。男くさく、粗野な感じもあるけれど、優しく、強く、気高い阿弖流為。仲間との強い絆もうかがわせる芝居で、もう自然とセンターが務められる安定感を感じます。相手役の有沙瞳ちゃんは雪組から星組へ組み替え後、二作目。清楚な娘役さんですが、佳奈のような気高く強さを持った役も出来る。みほちゃん(有沙さんのあだ名)の持ち味の情緒的な部分が出てたのも良かった。映像初見ですが、終盤一人で舞台を持たせられる実力を持っていると感じました。この公演の二番手クラス坂上田村麻呂に礼真琴と同期の瀬央ゆりあ。直近のドクトルジバゴでは成長著しいスター性を感じさせてくれました。この公演ではやや所作に固さが見られますが、きちんと見せ場は魅せる芝居心を持った方だと思います。他、この次の本公演で退団された壱城あずさの熱演、伊治公鮮麻呂(これはるのきみあざまろ)!しーらんは2枚目ギラギラ美形の男役だったんですが、こんな老け役も出来るのですね。同じく次の本公演で退団となった夏樹れいの紀古佐美(きのこさみ)のコミカルな悪役もやっぱり上手くて印象的でした。この公演で雪組に組み替えの綾鳳華、天華えま、そしてまだ下級生ながら密かに抜擢を受けている天飛華音。娘役転向前の音咲いつきやひろ香裕の手堅さも良かったなあ。

演出としては背景に映像を多用、大道具はほぼありません。DVDでも映像がちゃんと写っていましたが、演者の顔のアップを映像で使うのはどうかなあ。映像を前に出し過ぎると、目立ってそっちに目がいってしまいがちになるので、そこは気になりました。音楽は素敵だったし、全体的に良作と言っていい作品だと思います。が、演出で言うなら映像多用以外にもう少し目新しい工夫が欲しいところ。本は1幕の人間関係、対立構造が初見だとややわかりずらかったかな〜。阿弖流為と朝廷側、田村麻呂がどういった勢力、どういった立ち位置なのか。名前も坂上田村麻呂阿弖流為は皆知ってるレベルですが、出演者の顔を見知っていないと特に阿弖流為の仲間達については、若干混乱したかもしれません。2幕はもう、勢いがあって涙を誘う場面もあり良かったですけどね。フィナーレ削っても良かったのでは…?と少し思いました。…と色々言いましたが、全体的には良作、佳作で、繰り返しますが新星組二番手礼真琴の東上作品には相応しい内容だったと思います。琴ちゃんは…なんかもう技芸の面はいつでもトップにどうぞ〜!って感じですね…。今後二番手として色々苦労されることもあるかと思いますが、そんな心配を跳ね除けて大活躍してくれるような予感がします。

 

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