ENTREVUE BLOG

「ナギ」ですが時にはあらぶり「エンタメ」「すきなこと」について書く。演劇・宝塚・映画・本、アート・旅行等娯楽、趣味の話とたまにの真面目コラム。

原田諒の手堅い芝居作り@宝塚星組赤坂アクトシアター公演『ドクトル・ジバゴ』

宝塚ファンの中では割と賛否両論を舞い起す、新進の演出家、原田諒先生作の「ドクトル・ジバゴ」を観てきました主演の轟悠をはじめ、手堅い客キャストで見応えがありました。こんにちは、ナギナリコです。いつものようにあらすじ紹介からまいります。

 

ミュージカル
ドクトル・ジバゴ
~ボリス・パステルナーク作「ドクトル・ジバゴ」より~
脚本・演出/原田 諒

ロシアの作家ボリス・パステルナークの代表作「ドクトル・ジバゴ」。1965年の映画版を筆頭に、それ以降も度々映像化されるなど、世界中の多くの人に愛され続けてきた不朽の名作小説を、オリジナル・ミュージカルとして舞台化致します。
20世紀初頭、革命前後の動乱期のロシアで、純真な心を持つ詩人でもある医師ユーリ(ユーリイ・アンドレーヴィチ・ジバゴ)と、彼が愛し続けた運命の女性ラーラが辿る波瀾の生涯を描く。悠久のロシアの大地で、時代のうねりに翻弄されながらも懸命に生きた人々の軌跡、そして愛の形を鮮烈に描き上げる大河ロマン。

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ドクトル・ジバゴ〈上巻〉 (新潮文庫)

 星組公演 『ドクトル・ジバゴ』 | 宝塚歌劇公式ホームページ

 

宝塚の演出家にはファンの間で「はずれ」と「あたり」がいること、一般の方々は知っていますでしょうか。本当にこの本でこんなお金かけた舞台作っていいの…?みたいな駄作・凡作作品もありましたし、一方で最近では演劇賞にノミネートされる良質な作品もでてきました。

原田諒さんはまだ若手ですが、『For the people』で読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞した新進の演出家。

ただ、大劇場のオリジナルの芝居(約90分)では評価が分かれる本を書く人です。別箱公演(青年館、KAAT、赤坂アクト等大劇場の本公演以外の公演・2時間程度)では佳作・良作が多いですが、原作有りの一代記ものが多いです。

ちなみにわたしは原田先生の本の安直さ(台詞や人間描写)は苦手な方です。

ところがところが、ジバゴ、良かったですね…!

ヒロインのラーラはわたしが大好きな娘役の一人、実力派若手娘役の有沙瞳ちゃん。専科の轟悠さんを主演に、星組では演技巧者で名高い天寿光希さんや新進スターの瀬央ゆりあさん、他手堅いキャスト陣です。

 

まず!!

言いたいのは!!!

twitterでも叫びましたけど!!

瀬央!!せお!!瀬央ゆりあの時代が来た!!ですね!!

愛称・せおっちこと瀬央ゆりあさんは上背のある美人さんなんですが、同期に礼真琴さんという現星組二番手(トップ間近のポジション)のスーパースターがおりまして、これまでは何かとスター路線(将来のトップ候補)なのか?どうなのか?というポジショニング。しかし!!今作!!やってくれましたね!!

 

イケメン過ぎるパーシャ(ラーラの夫、のち革命活動家から社会主義者へ)、幕開けセンターのハマリっぷり!!最高に美形でかっこよかった!!二階席からも空間が埋まっているのが分ります。

有沙瞳ちゃんは持ち味の可憐さに加え、薄幸な感じをわりっとさっぱりしっかり演じてました。もう少しトーニャ(ジバゴの妻)との違いをだすために芝居に情感が欲しかったかな。ただ、演出家指示かな、と思いますし、元から実力派さん。これからの活躍も期待します!

この作品、原作は有名な映画ですが、おそらくもっとラブロマンス要素が強い作品だったのかな、と思いました。ただ、原田先生は作品を自分の得意方向に寄せ、「一人の偉人の一代記もの」にしたてていましたけどね。美術、照明が美しくて素晴らしい。音楽は印象に残るものは少なかったですが、手堅い出来で良かったです。そう、全体的にとても手堅い、手堅いつくり。

宝塚でやるにはいささか硬質過ぎるきらいがあるかもしれません。

つまりこれは、主演・ジバゴの轟悠を見せる、魅せる芝居の作りなんですね。

宝塚のお家芸ラブロマンス要素は濃いようで濃くはない。

轟悠さんと言えば、もう研うん十年の大大大ベテランの元雪組トップスター、現専科の宝塚のトップオブトップです。彼女の円熟の極みに達した(男にしか見えない)男役芸は観る価値あり。

ただ、今回だいぶ声の調子は悪いようで、元から低い声がかなりしゃがれていまいした。あの出来なら歌はもっと削って欲しかったかな。

けれど、全体的にはとても観てよかった!と思えたお芝居でした。

轟悠の円熟の男役芸、瀬央ゆりあパーシャの新進イケメンぶり、天寿光希のコマロフスキーがただの悪役にならない巧みな造形。声色の使い分け、役作りが素晴らしかった(天寿さんのお芝居がすきです)

星組ファンにはひそかに知られている実力派・紫りら(ラーラの友人)ちゃんや注目の新人・天飛華音(負傷兵)くんの活躍ぶりにも目を見張りました。

最後の雪のシーンも美しかったなあ………

 

原田先生!今回のドクトル・ジバゴはとってもとっても良かったです!

次回作の花組天草四郎モノはオリジナルですが!お願いしますよ!ほんと!

(ファンはとっても心配性です)

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