ENTREVUE BLOG

「ナギ」ですが時にはあらぶり「エンタメ」「すきなこと」について書く。演劇・宝塚・映画・本、アート・旅行等娯楽、趣味の話とたまにの真面目コラム。

ホリプロ『ラブネバーダイ』に宝塚OGのあの人がキャスティング!

こんにちは、昨日発表がありましたね!

2019年1・2月、ホリプロの『ラブネバーダイ』のキャスト!

宝塚OGが多くキャスティングされています!

アンドリュー・ロイド=ウェバー ラヴ・ネヴァー・ダイズ [Blu-ray]

ラブ・ネバー・ダイ

 

ファントム  市村正親/石丸幹二

クリスティーヌ  濱田めぐみ/平原綾香

ラウル・シャニュイ子爵  田代万里生/小野田龍之介

メグ・ジリー  夢咲ねね/咲妃みゆ

マダム・ジリー  鳳蘭/香寿たつき

 

ファントムとクリスティーヌは事前発表されてますが、今回の発表ではなんと言ってもメグ!夢咲ねねさんと咲妃みゆさんのダブル!

全く違う「ヒロイン」感を持った二人。

メグは「水着の美女〜♪」という見せ場や芝居力を発揮しなければならない重要な場面もある、難しいキャラクター!(初演見た方なら納得して頂けるかと)

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割と二人とも憑依系タイプの役者さんだと思うので、役づくりの違いがどんな感じか、楽しみです!ヴィジュアルも可愛いだろうな~!

日本初演タカラヅカOGの彩吹真央さんと、笹本玲奈さんのダブルでしたので宝塚OGになるかも、咲妃みゆちゃん意外と良いのでは!と個人的に思ってました!

 

あと更に個人的に小野田龍之介さんが最近気になっていて…!歌ウマで見目も良く、2.5や四季にも出演経験があり、今度レミゼのアンジョルラスに!

irving.co.jp

 

ということでどの組み合わせで見ようか、今から楽しみです〜!

個人的に鳳蘭・夢咲ねね親子、香寿たつき・咲妃みゆペアがより親子っぽそう笑

 

では簡単にお知らせでした!ナギナリコでした〜!

 

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イプセンの描く「恐ろしい」人間模様@Bunkamuraシアターコクーン 栗山民也演出『ヘッダ・ガブラー』

もう閉幕しておりますが、渋谷文化村で先月末まで上演されていた『ヘッダ・ガブラー』をご紹介します。作はイプセンノルウェーの著名な、と言う言い方がふさわしくない位、演劇界では何度も上演が重ねられている劇作家です。

 

高名なガブラー将軍の娘で美しく気位が高いヘッダ(寺島しのぶ)は、社交界でも話題の中心にいて、いつも男たちに崇められる魅力的な存在だった。しかし、頼りの父親が世を去り、ヘッダは周りの男たちの中から、将来を嘱望されている文化史専攻の学者イェルゲン・テスマン(小日向文世)を選び、世の女性たちと同じように、結婚する道を選んだ。
この物語は、二人が半年の長い新婚旅行から帰ってきた翌朝から幕をあける。新居には、イェルゲンの叔母ミス・テスマン(佐藤直子)とメイドのベルテ(福井裕子)が二人を待っていた。彼らに思いやりを示すイェルゲンに対し、新妻ヘッダは、自分が強く望んでイェルゲンに購入させたにも関わらず、新居への不満を並べ出し、すでにこの結婚に退屈している様子を隠さない。
そこへ、昔からの知り合いであるエルヴステード夫人(水野美紀)が訪ねてきた。今は田舎の名士の後妻となった彼女だが、義理の子供たちの家庭教師だったエイレルト・レェーヴボルク(池田成志)を探しに街にやって来たのだという。レェーヴボルクとは、イェルゲンのライバルであった研究者で、一時期、自堕落な生活で再起不能と言われたが、田舎町で再起。最近出版した論文が大きな評判をとっている男だった。そのレェーヴボルクこそ、ヘッダのかつての恋人で、スキャンダルを恐れたヘッダが、拳銃で彼を脅し、一方的に関係を断ち切ったという過去があった。ヘッダとの関係を知らないエルヴステード夫人は、彼を再起させるために論文執筆にも協力したことを語り、街に出た彼がまた昔の悪い暮らしに戻ることを恐れ、追いかけてきたという。
そして、もう夫の元には戻らない覚悟を決めていた。また、ライバルであったイェルゲンもレェーヴボルクの才能は評価しており、その再起を喜んでいた。そんな二人の純粋な思いを前に、苛立ちを覚えるヘッダ。そこに、夫婦が懇意にしているブラック判事(段田安則)が訪ねてくる。判事から、イェルゲンが有力と言われていた大学教授の候補に、レェーヴボルクも復活してきたことを聞かされたヘッダの心中は大きくざわつき始める……

ヘッダ・ガーブレル (岩波文庫)

寺島しのぶ小日向文世池田成志水野美紀佐藤直子、福井裕子、段田安則

SIS company inc. Web / produce / シス・カンパニー公演 ヘッダ・ガブラー

 

観終って、まず、恐ろしくて放心しました。

イプセンの人物に対する目線の恐ろしさに慄きました。

ここに描かれている登場人物たちの地に足着いたリアルさ、100年以上前だというのに現代にも通じるような人物造形、その巧みさに戦慄…!

「得意なのは退屈することだけ」という台詞にも表れている主人公、ヘッダの(新妻なのに)その奔放さ、魅力。終始ひとり舞台に立っても、客席の視線を掴んで離さない寺島しのぶの達者さ、ほっそりとして洗練された美しさが印象的でした。寺島しのぶは受け芝居が上手い、芝居に品がある、華もあるけど、わかりやすい見せ方や芝居をしていないのが素晴らしかったです。例えばヘッダ役はをもっと華でバーン!と見せるタイプの女優さんが演じていたら、この舞台は全然印象変わっていたでしょうね。なんというか、本当なんでそんなことするかわからない、あんまり共感も出来ないような女性なんですけれど、この人間関係の、立場への窮屈さへの、嘆き。そういう観客へのフックが強く、それを、寺島しのぶは存分に使って魅せているなあ、と。

ラストは…わたしには尊厳をとった、と理解しました。愚かで哀れな末路、と言う風にはあまり思えなかった。全面的に共感できるキャラクターではないけれど、その哀しさ、自由な精神、チャーミングさは客席に訴えかけるものがありました。

ちょっと冴えない夫テスマン(小日向文世)を選んだのも納得いくようでいかないようなところがありますね。小日向さんはこういう役はもうなんというかお手の物。
段田安則のブラック判事は特にクライマックスの「ヘッダ・ガブラー」という台詞が白眉どこから声を出しているの、という真迫った感じで物凄い迫力…!それまで終始抑えた芝居をしていたのをここで出すのか…!と。エルヴステード夫人はなんというか、自由な天然キャラ。水野美紀さんはお綺麗な方ですけれど、どこか浮世離れしたお嬢様みたいな雰囲気がありますね。このキャスティングも面白いな、と。レーヴェボルク、池田成志も独特の存在感を放つ。

三人の(ヘッダと…)三角関係が実は…って情報を持っているものを中心にパワーバランスが転換していく様は非常に面白くて、「雄鶏」の立場がかわっていく展開にぐいぐい引っ張られる。

 

ここからネタバレ全開ですが、

個人的にはレーヴェボルグでもっとが引っ張るかと思った、が割とあっさり死ぬ、殺されると思ったけど、違いました。情けない死に方をする。そしてヘッダが死ぬ、尊厳的な死として。

わたしが関わるとカッコ悪くなる、へんてこ、みたいな台詞や、下半身を打たれて死ぬレーヴェボルグの無様さを彼女は知って、それを許せない。

「誇り高きヘッタ・ガブラー」です。

 

 演出としては、演出家をチェックしそびれ、鑑賞中に「栗山民也さんの演出っぽいな~~」と思っていたらまさにそうでした。美術は自室で下手に窓、上手に別の部屋への入り口、正面に小さな階段。特に注目すべきポイントは、イプセンの視線、肖像(ですよね?)が常に上部にひっそりとでもしっかりとそこにある、ということ。

イプセンの、人に対する目線の恐ろしさに慄きましたので、この演出は納得。
だから正解で非常に効果的な演出だったと思います。

ピアノ音、時折キーンって音が鳴る際の小さな緊迫感や、ヘッダの情熱の赤のドレス、後半は途中着替えて黒のドレスというのも趣味が良いし、小日向さんのテスマンとエルヴステートの水野美紀が笑いとっているシーンもほっこり。
でも、本来は笑える場面はほぼなく、実はとてもとても、怖い話だと思いました。

人間模様をここまで生々しい筆致で描いたイプセンのすばらしさ。

今まであまりイプセンの原作ものの芝居って、自分から進んでは観なかったのですが、これからはもっと観たいし、戯曲もちゃんと読みたいと思いました。あ、今回翻訳もよかったな。徐香世子さん。

人形の家 (岩波文庫)

だから、栗山民也さんの演出は成功していたのだと思います。

栗山さんの演出の作品は、基本的に観客の鑑賞を妨げないスタンスというか、派手なギミックもあまりありませんが、シンプル洗練されていて、いつもとても素敵だと思います。

 

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気鋭の座付き演出家上田久美子のまなざし@宝塚月組『BADDY(バッディ)-悪党(ヤツ)は月からやって来る-』

さて、本日は先日の『カンパニー』のレビューに続きまして、

併演のショー『BADDY(バッディ)-悪党(ヤツ)は月からやって来る-』のレビューを試みたいと思います…!!

 

ショー・テント・タカラヅカ
『BADDY(バッディ)-悪党(ヤツ)は月からやって来る-』
作・演出/上田 久美子
舞台は地球首都・TAKARAZUKA-CITY。世界統一され、戦争も犯罪も全ての悪が鎮圧されたピースフルプラネット“地球”に、月から放浪の大悪党バッディが乗り込んでくる。バッディは超クールでエレガントなヘビースモーカー。しかし地球は全大陸禁煙。束縛を嫌うバッディは手下たちを率い、つまらない世の中を面白くするためにあらゆる悪事を働くことにする。彼の最終目標はタカラヅカ・ビッグシアターバンクに眠る惑星予算を盗み出すこと。しかし、万能の女捜査官グッディの追撃が、ついに彼を追いつめる!

 

月組公演 『カンパニー -努力(レッスン)、情熱(パッション)、そして仲間たち(カンパニー)-』『BADDY(バッディ)-悪党(ヤツ)は月からやって来る-』 | 宝塚歌劇公式ホームページ

 

月組『カンパニー/BADDY』については初日から観劇しておりまして、

先日の千穐楽のライヴビューイングも鑑賞しました!!

カンパニーが思いのほか長い記事になってしまい…併演のショ―『BADDY』についてはまあ、色々語りたいよな、もっと語りたいな、語り倒したいよな…!!ということで別記事に。

まず、この『BADDY』というショーが如何に突き抜けたショーであったのか、みたいな内容は下記に書いております。

nagi-narico.hatenablog.com

加えてもう少し突っ込んで書きたいので…上記の記事で書いた「社会批評」スタンスについてから、もう少し書いていきます。

上田久美子の社会への眼差し

このショーの作・演出、上田久美子先生は賢い。というか、どこに関しても視線が厳しく鋭いですね。タカラジェンヌに対してもですし(愛ある厳しさだと思いますが)舞台づくりに対するスタンスが厳しい。割と観客の反応を見て、演出に細かい調整、ジェンヌに対しての演技プランの変更なんかもしてきます。タカラヅカファンはハードリピーターも多く、皆さん目が肥えていますので、そこに気づく気づく…!

本公演『星逢一夜』→中日劇場公演『星逢一夜』の演出変更、演技プラン変更は記憶に新しいですね…

 

そして、今回の「大熱狂、大興奮、今まで見たことないショー」である『BADDY』にも、そのウエクミせんせいならではの、社会や「宝塚(タカラヅカ)」そのものについての「シニカル」な、厳しく鋭い目線を感じる感じる…!

『カンパニー』も実は、先のレビューで書かなかったのですが、ベテラン石田昌也先生の「阪急」に対する「シニカルな視線」感じる、とつぶやきました。

 

BADDYは既存のショーに価値の転換をもたらした

このショー、『BADDY』も「タカラヅカ」「タカラヅカ的な様式美」に対しての「パロディ」「風刺」であり、現在の日本社会=嫌煙、全面禁煙になるだろう社会を皮肉ったショーです。

例えば「ラテン」「ジゴロ」「中詰めスターの銀橋渡り」「男役の女装」「ラインダンス」「デュエットダンス」「退団者への餞別場面」というのは、これまでの既存のショーにもあったやり方、シーンです。

しかし、『BADDY』が極めて新しいのは、それら「タカラヅカ」の「お約束」を踏襲しながら、「意義、価値を変えた」こと。

「ラテン」的な場面、『レストラン“ブルーラグーン”』ではおかしなコスプレのロブスター、オマール、オイスター達を登場させ、

ジゴロは宝塚のショーではよくある場面ですけれど、『悪のレッスン~デンジャラスな男になるために~』で「数々のワルイコト」をする一環として見せる。

『カオス・パラダイス』、「中詰めスターの銀橋渡り」はどのショーでも中盤に向けて盛り上がる場面ですが、その勢いに乗じこの世は「ぐるぐるぐちゃぐちゃ」となる。観客の感情の盛り上がりまで計算しているようで、とても爽快で、熱い場面です。

『ビックシアターバンク式典舞踏会』での美弥るりかさんの中世的でファムファタル的な魅力を生かした「女装」もキャッチーで良いと思いますし、宇月颯さん、早乙女わかばさんというスター退団者への餞別も、さり気なくロマンチックな恋物語として入っていて素敵。

 

怒りのロケットと闘いのデュエットダンスの意義

特筆すべきは『グッティの怒り』ファン通称「怒りのロケット」と『罪』での「闘いのデュエットダンス」、『悪の華』。

女性として生まれると、「怒りをあらわにしてはいけない」「男性に反発しないで機嫌とってやり過ごすのが賢い女」「(怒りをあらわにすると)これだから女は感情的だ」みたいな圧力があるのが、残念ながら今、この日本という国です。

そのストレスが、このショーは「ない」。

タカラヅカの、ともすれば古典的な、旧態依然的な、時代錯誤な「娘役らしさ」(女らしさ)、男女観を求める部分が、このショーには「ない」。

「許せないの許せないの」「怒っている怒っている生きているわたし」

(微妙に違ったらすみません)というグッディの歌、ダンスの持つ力強さと生命力。怒りという感情が持つパワーそのもの、のようなグッディーズのラインダンス。

 #metoo 運動が記憶に新しい今、この瞬間に、「宝塚歌劇団」という保守的な組織が、未婚の女性だけが劇団員のタカラジェンヌたちによって、このショーを上演したのは、とても意義深いことだと思います。

 

そして“闘いのデュエットダンス”

最近の宝塚のデュエットダンスは、「娘役(トップ娘役)」が「うっとり」と見つめ、「男役(トップスター)」は紳士的にエスコート、包容力を発揮する。リフトが入り、観客に挨拶して引っ込む、が割とスタンダードでした。

しかし、今回のデュエダンはベテラントップ娘役・愛希れいかと、若きトップスター・珠城りょう、一期違いの、月組のトップコンビだからこその、闘い(バトル)だった。

「善と悪よ 抱き合え 地獄に落ちても共にゆけ 罪人 ふたり」

あのバチバチと火花が散るような熱さ、バッディがグッディの心を手に入れ、最後ふたり燃え尽きセリ下がる、という至高のデュエットダンスが出来上がったのだと思います。

特筆すべき内容、出来だと思います。

 

月組メンバーそれぞれの個性に合わせてアテガキされたショーとなっており、今の時代(禁煙社会、コンサバティブな日本社会、女性観)へのアンチテーゼ、演出家の社会批評的な目線(己が主張)も入れている。

 

現実世界は「ぐるぐるぐちゃぐちゃ」

タバコのもたらす害は図りし得ません。

受動喫煙問題等もありますし、わたし大嫌いです、たばこ。

でも、ウエクミ先生がパンフレットで書いていたような、嗜好品である煙草が、「小道具」として趣深いエッセンスを創作に与えて来た歴史があります。

宝塚の男役も元々、昔の洋画の男優のマネから入った、というエピソードを聞いています。

女性のエスコートの仕方、スーツの着こなし、脚の組み方、ハットの被り方、そして煙草の扱い方。

いわゆる「男役芸」に欠かせない所作の数々。

煙草が文化に与えた影響は大きい。

紫煙をくゆらす」「燻る」もこれからは文学作品で使われなくなっていく表現なのでしょうか。

 

更に、今ネットでも現実、日常でも、「善悪」「二元論的な思考」というのはもう、至る所にはびこっています。SNSの「炎上」についても似たようなところがあって、「こいつは叩いていい」と認定されると一気に燃え上がる。確かに、非常に反社会的な表現、差別的な表現、うかつな発言、色々あると思いますが、「悪」だから「殺していい」「暴力の対象になっていい」みたいな姿勢はキケンだと思います。

同様に「正義」を錦の御旗にするのも、キケンだと思います。宗教戦争なんて、まさにそれですよね。行き過ぎた「正義」は暴力さえも肯定します。

 

賢明な皆さんなら、お分かりかと思いますが、この世の中「善悪」二元論では片づけられないことばかりですよね。ある場面では「悪人」であっても、ある場面では「善良な人」である。ある視点から見ても悪辣な行為でも、ある視点から見ると正義感に溢れた行為であることが、ままあります。

物事は、世界は、もっと局地的グラデーションなもの。本来この世は「ぐるぐるぐちゃぐちゃ」で、黒と白、グレーもまだら。善と悪も色んな場面で色んな濃淡が出てくる。

『BADDY』はそんな世の中自体を描いているショーだと思います。

だから、素晴らしい。

 

これまで何度も再演された舞台の名作は皆、作られた時代の世相を反映しています。

『ANNIE』『WEST SIDE STORY』『ミス・サイゴン』『レ・ミゼラブル』、日本の演劇史でも蜷川幸雄がどういう作品を亡くなるその時まで演出して来たか?小劇場界ではどんな作品が人気を博したか?何百年前の英国の劇作家シェイクスピアの作品が未だに世界中で上演され続けるのは何故か?

鋭い社会批評的な視点があってこそ。

 

別記事の繰り返しですが、「タカラヅカ」という夢夢しい華やかな世界でこの作品が上演されたことが非常に意義深い。

『BADDY』は凄い。

素晴らしい見世物小屋「ショー・テント・タカラヅカだと思います。

 

……まあ色々書きましたが、スタンスとしては、ウエクミせんせい色々スゲエ、に尽きます。本当「気鋭」の演出家。

わたしがもし、タカラジェンヌだったら、どんな厳しかろうが、ウエクミせんせいの芝居に出たいし、スター格だったら自ら公演の作・演出直談判したいくらいですね…!絶対話題作になり、個人人気もでますから。やりがいしかないでしょう。まあ、そんな権利はあんまりないでしょうが(ひっぱりだこだし)、これだけ色んなことを実現して尚挑戦的で評価されている演出家が今現在他に誰がいますか、ということですよ。宝塚座付演出家としてはまだ若手ですよ?ウエクミせんせい…恐ろしい子…わたしが座付きだったら亡霊に取りつかれそうですね、「ウエクミせんせいみたいに作品作れない」とか思っちゃいそう。

あ、でもこれはツイでもつぶやきましたが、わたしは以上のようにBADDYだいすき人間ですけど、別にこのショー「大嫌い」「上田先生の作品やっぱ合わないわ~」という人がいても全然いいんです。確かに、このショーはほぼほぼ芝居っぽくて、ノバ・ボサ・ノバみたいに台詞ほぼなく、歌、ダンスや身体表現で極限まで持たせるショーではない。説明過多、と言われれば確かにそうだと思いますし。

また、多くの人に話題になる作品は、賛否両方の声が聞こえてくるものです。それだけ人の心を動かした、ということなのでしょう。

 

さてさて、タカラヅカの上層部の皆さんは…なんていうか…懐が大きいですね…

…というか、天然なのかな?

わたしがもし阪急、劇団のエライ人だったら、この『カンパニー/BADDY』の組み合わせ、企画段階でならともかく、出来たものを見せられたら、ちょっと色々落ち着かなくなると思いますよ。なんならちょっとプンスカしちゃうかも。

だって…ねえ?そうですよね?

ベテラン石田昌也×気鋭の上田久美子だからできた演目でしょう。

 

すでにかなり長いので……なんだかこのショーめっちゃすごい!で、ひたすら書いた気がしますが…(なんかすみません)

出演者への「萌えがたり」はまた別記事でアップしたいと思います~!こちらもたぶん長く書いちゃう!だって書きたい!←

次回に(きっと)続く!ナギナリコでした!

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「月が綺麗ですね」byカンパニー  それとも 「月が綺麗なんてとんでもない!」by BADDY?

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ブログ記事100本書けっ…た…っ…!と読者の皆様へのお礼。

こんにちは、ナギナリコです。

本日はちょっとした個人的なご挨拶記事です。

 

先日のこちら↓の記事で、こちらのブログはついに100本投稿達成しました!

閲覧して下さったみなさま、ありがとうございます!!

そして、私自身も、100本も書くまでブログが続いたことはなかったので、まだ3月から2ヶ月半位のこちらのブログですけれども、とても嬉しいです!

nagi-narico.hatenablog.com

 

ちなタイトル推移

『ナギナリコのエンタメScrap!』

『すきなこと探しの旅に出る。ナギナリコのエンタメScrap!』

『エンタメ ジャーニー』ナギナリコがエンタメScrap!

と地味~~~に変わっておりますね…意味があるんだかないんだか、って感じですけど笑

 

宝塚関連の記事が半分くらい、残りで他の演劇、舞台芸術や、映画、まれにコラムを更新しております。

 

ちなみにこのブログでアクセスが多いのも、圧倒的に宝塚関連の記事です。

宝塚コラム カテゴリーの記事一覧 - 『エンタメ ジャーニー』ナギ ナリコがエンタメScrap!

宝塚 カテゴリーの記事一覧 - 『エンタメ ジャーニー』ナギ ナリコがエンタメScrap!

「宝塚コラム」では、公演評ではなく、ちょっとしたテーマに基づいて書いています。

公演評やスターについては「宝塚」のカテゴリーや右側の組別のカテゴリーをご覧下さい。

では、ちょっとアクセスがそれなりにある記事をいくつかご紹介。

nagi-narico.hatenablog.com

104期生は今まさに宝塚市で初舞台公演中。タイムリーかつ、注目度の高い記事なのかもしれません。

 

nagi-narico.hatenablog.com

こちらは最近の記事ですが、結構色々な方に見て頂いた、ようです…(ありがとうございます)

まあちょっとズバズバ言っているんですが、わたしが宝塚の、特にネット界隈、ブログ界隈について思うことを正直に書きました。

 

この今までで4記事アップしている「突然ですが~語り倒します。」シリーズは割と見て頂けてる記事。これまで四名の方をピックアップしています。

突然ですがわたしの好きな宝塚のスターさんを語り倒します。その①~七海ひろきさん~ - 『エンタメ ジャーニー』ナギ ナリコがエンタメScrap!

突然ですがわたしの好きな宝塚のスターさんを語り倒します。その②~珠城りょうさん~ - 『エンタメ ジャーニー』ナギ ナリコがエンタメScrap!

突然ですがわたしの好きな宝塚のスターさんを語り倒します。その③~有沙瞳さん~ - 『エンタメ ジャーニー』ナギ ナリコがエンタメScrap!

突然ですがわたしの好きな宝塚のスターさんを語り倒します。その④~鳳月杏さん~ - 『エンタメ ジャーニー』ナギ ナリコがエンタメScrap!

 

あとは、宝塚のニュース的な記事ですね。タイムリーな話題。

ちなみにこっちでは(全然人気ない)コラム、

真面目コラム カテゴリーの記事一覧 - 『エンタメ ジャーニー』ナギ ナリコがエンタメScrap!

エンタメ以外の時事的な話題や興味ある女性、社会の云々についての話はこっちのnoteに書いたり、共通でアップしたりしています。

note.mu

最近あんまり更新出来ていませんが…まあたまに、毒舌というかブラック・ナギナリコ(黒)でございますが…

 

今後、5月も出来るだけ毎日更新して、200本、300本と更新していきたいです。そしてもっと思考錯誤して、より読み応えのあるレビューや評論、コラムを、ブログを執筆出来たらいいな、と思います!(なんか作文っぽいまとめ方)

 

これまで閲覧して下さった皆さま、読者登録、コメント、スター等をして下さった皆さま、ありがとうございます!

 

これからもマジメに楽しく、たまには辛口で、ブログ楽しくやっていきたいと思いますので宜しくお願いします!

 

ナギナリコ Na.

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ベテラン演出家によるタカラヅカ的現代劇@宝塚月組『カンパニー -努力、情熱、そして仲間たち-』

今回は先日大熱狂のうちに閉幕した月組公演より、お芝居『カンパニー』のレビューをお届けします。初日とLVの感想は既にアップしております。

nagi-narico.hatenablog.com

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 ミュージカル・プレイ
カンパニー -努力(レッスン)、情熱(パッション)、そして仲間たち(カンパニー)-
~原作 伊吹 有喜『カンパニー』(新潮社刊)~
脚本・演出/石田 昌也

2017年5月に新潮社から発行された伊吹有喜の小説『カンパニー』を舞台化。愛妻を亡くし生きる意欲を失った製薬会社の青年サラリーマン青柳誠二が、社の協賛公演を行うバレエ団への出向を命じられ、世界的プリンシパル高野悠が踊る冠公演「新解釈版・白鳥の湖」を成功に導くため、一癖も二癖もあるダンサーや業界人に翻弄されながらも、バレエ団のバレリーナ高崎美波との淡い恋や新しい仲間たちとの友情を支えに、様々な困難を乗り越え奮闘する姿を描くハートウォーミングな成長譚。努力・情熱・仲間たち(レッスン・パッション・カンパニー)をテーマとし、個性豊かな登場人物たちがそれぞれに懸命に生きる姿を、新感覚のバック・ステージ・ミュージカルとしてお届け致します。

公演解説 | 月組公演 『カンパニー -努力(レッスン)、情熱(パッション)、そして仲間たち(カンパニー)-』『BADDY(バッディ)-悪党(ヤツ)は月からやって来る-』 | 宝塚歌劇公式ホームページ

 

異色かつ、挑戦的な意欲作

昨今の宝塚において、特に大劇場では、現代劇は少なめです。代表的なものは昨年の宙組公演 『王妃の館 -Château de la Reine-』(原作小説あり、田渕大輔作・演出)、一昨年の雪組公演 『私立探偵ケイレブ・ハント』(オリジナル、正塚晴彦作・演出)、更に前ですと壮一帆トップ時代の雪組公演 『Shall we ダンス?』(映画原作、小柳奈緒子作・演出)、更に遡ると今回と同じ石田昌也作・演出による『黎明(れいめい)の風』が思いつきます。

さて、そもそも現在の宝塚ではどうして現代劇の上演が少ないのか?

これはわたしの考えですが、現代劇の世界が「宝塚の夢夢しさ、華々しさ、虚構性に合わないから」、に尽きます。

石田先生の『黎明の風』などは正にそうで、「日本の戦後」という身近な、しかも「生々しい」時代を扱っている。『黎明の風』は映像で拝見しましたが、話自体はともかく、違和が残った。それは、やはり戦争を舞台とした様々な名舞台を観てきたからですし、宝塚っぽく美的に処理しているように思えたからです。今宝塚で現代劇を上演するとしたら、持ち味的にもベテランの石田昌也先生か、オリジナルで現代劇の執筆が多い正塚晴彦先生担当でしょう。さて小柳奈緒子先生の『Shall we ダンス?』のように、これまでは登場人物達を「日本人ではなくす」「日本以外が舞台の作品にする」というギミックを使い、物語の虚構性、「タカラヅカ」らしさを高めていました。

この流れが変わったのがおそらく田渕大輔作・演出の浅田次郎原作、宙組『王妃の館』でしょう。この芝居はかなりオリジナルの小説に手を入れていますが、要は現代劇に「タカラヅカ」的な要素を見出した作品。宝塚に馴染みの深いフランス、パリに主人公達は旅し、「王妃の館」にルイ14世(の亡霊)が登場する。現代劇(風)の衣装と、宝塚らしいコスチュームの衣装を着た登場人物が時空を超え登場する。違和感なくまとめていたと思います。

『カンパニー』の原作がどのような経緯で選出されたかはわかりませんが、基本的にはこの路線を踏襲していると思います。原作者、伊吹有喜さんは浅田次郎さんほど有名作家ではないでしょうし、『カンパニー』は一大ベストセラー小説でもない。出たばかりの本です。

カンパニー

それでもこの作品の「宝塚化」が踏み切られた理由の一つを想像するとしたら「バレエ」や「フラッシュモブ」といった宝塚の大人数でやる舞台だからこその見せ場を用意出来る作品だ、と判断されたからでしょう。

 

カンパニーは凡作か?佳作か?

『カンパニー』の出来に対する評価として、わたしは「よく作られている」と思いました。丁寧、とは言い難い部分もありますが、石田先生の苦心の跡が見えます。これは初日から何度かの観劇、ライブヴューイングを経てもあまり変わっていません。さすが、ベテラン演出家による作品、と感じる。主人公の青柳を中年の離婚経験者(でしたでしょうか、原作未読)から妻を亡くし気落ちしている壮年へ変更。高崎美波のキャラクターを膨らませ、ちょっとしたロマンスを加える。ここまでは宝塚あるある改変。そして大舞台で映える白鳥の湖を劇中劇として上演。ヒロインはあくまでオデットのアンダーの美波役、愛希れいかですので、美波がヒロイン、とわかるように紗良と高野に踊らせながらも、背景で美波も踊る。クライマックス、美波の晴れの舞台を見せられなかったのは残念でしたが、それまでの場面で青柳が美波やカンパニーと出会い成長していく様や、美波がオデットとして立派に踊っただろうことは、観客に想像させる作りになっています。見せたいところは見せている。時間の関係でやや苦しい作りになってはいますが、場面転換もスムーズですし、ベテラン演出家ならではの出来だと思いました。たぶんに勝手な解釈ですけど、青柳が歌う「カンパニー」の歌、最初はカンパニー=会社、みたいな印象が強く、会社組織以外にも敷島バレエ団もカンパニーと呼ばれると知り、仲間=カンパニーと実感し、希望を取り戻す流れなのかな、と。

ただ、この作品の歪みがあるとすれば、アイドル、もといパフォーマンス集団バーバリアンの扱いと、会社組織やバレエそのものについての描写の乱雑さ、でしょうか。

三番手月城かなと演じる水上那由多は、なかなか役作りが難しそうなキャラクター。特に、もう明日が楽、という時にリーダー阿久津と、紗良のパフォーマンスに難癖をつけ、リフトを提案する場面。それまで一貫性を持ち見た目に反し実は真面目キャラ、という造形がここで崩れかかるも、「パフォーマンスに誠実、一生懸命ゆえ」という役作りで押し切った印象を受けました。リーダー阿久津仁は更に難しかっただろう、と思います。今更何故それをここで?!という空気読めないキャラクターですから。でもこんな役でもどこか実直さを感じさせるのは、月城かなとと、この公演で卒業の宇月颯の持ち味、芝居心所以ですね。なぜ、左遷先がバレエ団のプロデューサー職?というところや、合併話、そもそもいくら那由多が体幹がしっかりしてようが、ジークフリードのソロは踊れるのか?アンドゥオールは?バレエは普通アンダーがどの公演もいますよね?というところもツッコミどころです。おそらく、もっと劇中劇『白鳥の湖』を、「新白鳥の湖」としてもっと大胆な衣装や演出変更をしていれば、この部分は補えたと思います。切り貼りしていますが、極めてオーソドックスな白鳥の湖でしたから。

 

演者について

主人公の青柳誠二(原作の誠一から変えているのは、発音のせい?)は珠城りょうさんの実直さが良く出たキャラクターで、ヒロイン高崎美波は健気で好感持てる役作り。美弥るりかさん演じる高野悠はアーティストではありますが、最も舞台に真摯で「まとも」なキャラですね。王子役を演じる世界的バレエダンサー、というには線の細さや小柄さ、個性的な持ち味が気になるところですが、それは仕様がない部分。暁千星さん演じる長谷川蒼太は劇中劇の道化役として観客にダンス力をアピール。この作品、特に際立っていたのは女性キャラクター陣で、専科の京三紗さん演じる敷島瑞穂、組長の憧花ゆりのさんの田中乃亜、ご卒業公演となった早乙女わかばさんの社長令嬢有明紗良、海乃美月さん演じたトレーナー瀬川由衣も個性的、的確ゆ配役され、良い役作りだったと思います。

 

このような、平凡なサラリーマンの成長物語、オーソドックスなよくあるハートフルなストーリーは、一定の需要があり、観客もツッコミどころがあっても受け入れやすいものだと思います。そもそも、以上に書いてきた歪みやツッコミどころも、元の原作を尊重している部分などもあるでしょう。

石田昌也先生は主にジェンダー的観点から、台詞やキャラ造形にツッコミ、批判がよく入る方ですが、今回はなんというか、原作も、そもそも古典的なオーソドックスなストーリーだしな、と思うのです…

月組の組子が総じて的確な役作りをして仕上げているのが好印象で、わたしは楽しめました。「タカラヅカらしい」作品ではないけれど、「タカラヅカらしさ」を感じる舞台でした。

 

思いの外長くなりましたので、大興奮のBADDYについては別記事でアップします!

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